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最終更新日:2024年04月19日
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第395話「律子さん42」

同僚の田中好子が言った。
「律子さんってトウキビ好 きですか?」
「うん、好きだよ」
「じゃあ、今晩お家に持っ て行きますね」
田中好子の実家は農家で、 収穫期の今頃は会社の皆に 毎年畑で採れた物をおすそ 分けしているとの事だった。
「あら、悪いわね」
「いいえ、家のトウキビは 甘くて美味しいですよ」
「そうだよね。畑から直送 だもんね。楽しみだわ」主 人も私もトウキビは大好き なので本当に楽しみだった。
「会社の皆は遠慮してるみ たいで、誰も欲しいって言 わないんですよ」と少し寂 し気に田中好子は言った。
「せっかくのスーちゃんの 好意なのにね。私が全部食 べてあげるわ。私も主人も 大好きだから」この時、隣 りの課の小林幸子の口元が 少しほころんで見えた。
「ありがとうございます。 律子さんにそう言って貰え ると嬉しいです。車のトラ ンク一杯に持って行きます ね」と冗談を言う田中好子。
「せっかくだけど、トラン ク半分くらいにしてよ」と 私も冗談でやり返す。
帰宅すると既に主人が戻っ ていた。
「今日は随分と早いのね」
「何言ってるんだよ。今日 は仕事を早目に切り上げて 帰って来たんだよ」
「ああ、そうか!今日は外 食するんだったっけ」
私は今晩トウキビを持って 来ると言っていた田中好子 に電話をして留守にする事 を伝えると、彼女は玄関の 前に置いておくと言ってく れた。
久し振りの主人と二人での 外食は楽しかったし、食事 も美味しかった。幸せな気 分で帰宅すると、玄関の前 に大きな肥料袋の様な物が 三つ、ドンドンド~ンとい った感じで置かれている。
トウキビがはみ出し、パン パンではち切れそうな袋は、 ウエストが合わなくなった スカートを穿く私自身の姿 をほうふつさせた。思わず お腹を引っ込めたくなる。
「どうしたのこれ?」主人 が驚いた顔で見ている。
トウキビはちょうど車のト ランク半分くらいの量だ。
「じょ・・冗談じゃなかっ たのね・・・」

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