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最終更新日:2024年03月29日
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第397話「バスの中の観客2」

ミサキは何故か明るい声で笑う様に言った。
「ダメでした。あえなく玉砕しました」それまで息を止めてミサキの口元を凝視していた女の子達全員が大きく落胆しながら言った。
「そっか~ダメだったか~」
「私には高嶺の花だったってことだよね」とミサキ。
「高値の花?そうかもね。あんたにはちょっと高額な花だったかもね」デカイ女は正解はどうであれミサキの言葉を自分なりに解釈した様だ。
「でも良かったじゃん。あいつ女癖が悪いって噂だよ」デカイ女は言った。
「でもさ、誰かと付き合ってる噂も聞かないじゃん」と別な子が言う。
「どうだかね」と何かを知っている風に意味ありげな顔で言うデカイ女。
やがてバスが停まるごとに女の子達が一人二人と減って行く。
「次があるよ。ガンバ!」と言って右手でガッツポーズをすると、デカイ女は降りて行った。バカだけど思ったよりも良い奴かも知れないと、この時僕は思った。
最後はミサキ一人になった。客が減った為に見通しの良くなったバスの先頭の方から、学ランを着た背の高い男子高生が歩いて来ると、ミサキの横に並んだ。かなりのイケメンだ。もしやこれが?と思ったらミサキが驚いて言った。
「あっ、鈴木君、全然分からなかった」と言ってミサキは恥ずかしそうな顔をした。
ウッスと言って鈴木は笑いながらミサキ相手に話し出した。
「混んでたしな。それにしてもあいつ頭悪過ぎね?」さっきのデカイ女のことを言ってる様だった。
「トモミ?でも良い子だよ。なんか私悪いことしちゃった」一瞬俯いたミサキだが、思い直した様に鈴木の顔を見ると、少し自信なさ気に言った。
「本当に良いの?私で」思わず僕は「えっ?」と声に出しそうなったのを慌てて飲み込んだ。さっきは確か玉砕って言ってたけど。
ふと前の席を見ると、おばちゃんが大きな口を開け、驚いた顔で二人の顔を見上げていた。 つづく

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