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最終更新日:2024年04月25日
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第380話「マーちゃん25」

チャイムを鳴らすと、友達の子どもである小学五年生のマーちゃんが玄関のドアを開けた。
「いらっしいませ。お久し振りですね」いつもの様に大人びた口調でマーちゃんが言った。
「ケーキ買って来たから食べようか」そう言って、何気なくドアが開いているマーちゃんの部屋を見ると、男の子が一人、部屋の中に座っていた。顎を引き、下から見上げる様に僕の顔を見ている。まるで睨んでいる様だった。
「こんにちは」と僕が言うと、その子は真っ赤な顔をして少しだけ頷いた。
「友達の裕樹君です。一緒に勉強をしてたんです」とマーちゃんは言った。
「そっか、偉いな。良かったら裕樹君も一緒にケーキ食べない?」裕樹君は、またも小さく頷くと、今迄書き込んでいたテーブルの上のノートを閉じて立ち上がり、マーちゃんの背中に隠れる様にしてこっちへと歩いて来た。友達というから同じ五年生だと思ったが、裕樹君は小さく、小一か二年生ぐらいにしか見えない。
マーちゃんが戸棚から三人分の皿とフォークをテーブルの上に並べた。
「じゃ、裕樹君。好きなの食べて良い・・」と僕が言い終わらない内に裕樹君はケーキーの箱に手を突っ込むと、何種類かあるケーキを選ぶでもなく、無造作に手掴みでケーキを一つ取り出すと、大きな口を開けてかぶりついた。
「あら・・フォークとかいらないの・・」マーちゃんが驚いた様に言った。
僕等がケーキを一つずつ皿の上に乗せる頃には、手持無沙汰な顔をして隣のマーちゃんの顔を見ていた。
「良かったらまだあるからどうぞ」裕樹君は僕の顔を見ることもなくケーキの箱に再び手を突っ込むと、さっきと同じ様にケーキを一つ掴み、鼻の上に皺を立てながら大きな口でケーキにかぶりついた。それはまるで、ライオンが獲物の肉を喰いちぎるかの形相だった。
「そんなに急いで食べなくても誰も取らないからさ」と半ば呆れ顔でマーちゃんは言った。    つづく

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