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最終更新日:2024年04月12日
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第40話 「キャッチボール」

僕が部屋で高校の受験勉強をしていると親父が入って来て言った。
「キャッチボールするべ」
「なに言ってるんだよ」
「今更勉強してもしなくても一緒だって。なあ、キャッチボールしようって」
僕自信少しイラついていた上に、余りにも無責任な言葉に僕は声を荒げて言った。
「何処の世界に息子の勉強の邪魔をする親が居るんだ」
親父は呟く様に「そうだな。ご免。悪かった」と言うと、僕の部屋を出て行った。
その後、無事高校にも合格し、キャッチボールの事もすっかり忘れていた。
高校三年の夏、親父は癌で亡くなった。通夜の晩、親父の友達が僕に言った。
「何年か前だけど、親父さんな、子どもの時みたいにお前とキャッチボールができて楽しかったって、喜んでたぞ」
なぜ親父がそんな嘘を言ったのか、その時は分からなかった。
親父の遺品を整理していると、僕が初めて親父とキャッチボールをした時の写真を見つけた。キャッチボールを親父に教わった事す ら僕は忘れていたのだ。更に、古い親父のグローブと新品のグローブを見つけた。
その中に「誕生日おめでとう」と親父の字で書かれた手紙が入っていた。あの日は、僕の誕生日だったのだ。
涙が止まらなかった。
その時のグローブは今でも大切にとってある。将来、僕の息子と一緒にキャッチボールをする為に。

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