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最終更新日:2024年04月25日
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第412話「我が家のお宝2」

その後も古備前を前に祖父のウンチクが続いた。
「まあ、その内に鑑定してもらおう。それまでちゃんと仕舞っとかなきゃな」父が言うと祖父は頷き、大事そうに茶碗を木箱に入れて部屋を出て行った。
父と二人きりになった僕は父に向って言った。
「何か隠してないか?」
「何かって何だ?」
「だからあの茶碗の事」
少し間を置いて父が言った。
「あれは俺が陶芸教室に通ってた時に作った焼き物だ」
父が昔、陶芸教室に通ってた事は知っていた。
話しの内容はこうだった。
陶芸教室の先生が古備前が好きで、父が家にもあると言ったら、是非見せて欲しいということになり、持って行って箱を開けたら割れていたという事だった。
「落としたの?」
「最初から割れてたんだ」
「どうして爺ちゃんに言わなかったんだよ」
「言おうとしたけど、良く考えたら、あれ、親父が自分で割ったんだよ。引っ越しの時に古備前の入った箱を落としたんだ。他の物と一緒に入れてあったから分からなかったんだろうな。
何かが割れた音がしたから箱を開けて見たら一番上の灰皿が割れててな、それが原因だと思ったんだ。下の方に古備前が入った箱があるのを忘れてたのさ」
「割れた古備前は本物?」
「いや、偽物だった」
「そっか、で、どうなの?さっきの贋作の出来は」
「先生が褒めてくれたから悪くはないんじゃないか?」
その時、祖父の階段を上る音が聞えて来た。
「もう一つお宝があるんだ。これは俺の母親が嫁入りの時に持って来た掛け軸だ」見ると、なかなか上手な猫の絵だった。
僕は父が昔、絵画教室にも通っていた事を思い出して、とっさに父の顔を見た。祖父の後ろでしきりにかぶりを振る父。
「随分迫力ある猫の絵だね」
「バカ、虎だ」と祖父。
どう見ても猫っぽいと思って見ていると、下の方に応挙と書いてあったので思わず絶句。円山応挙?僕でも名前くらいは知っている。
確か江戸時代の有名な絵師だ。まさか~まさかね~。

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