求人君

北海道【札幌・旭川・函館・苫小牧・釧路・帯広】のお仕事探しに求人君
最終更新日:2024年04月25日
最終更新日:2024年04月25日
TOP  > KonなんどうでShow!  > 第419話「マーちゃん29」

第419話「マーちゃん29」

仕事帰りに約束の寿司を買い忘れた友達が言った。
「だから悪かったって。これから買ってくるからさ」
「もうこの時間じゃ、どこも残ってませんよ」
「じゃ、回転ずしでも食いに行こう。な、そうしよう」
「お給料にはまだ間があります。今月の生活費に響いちゃうじゃないですか」
「今月は厳しいのか?」
「はい、お父さんの交際費が多かった分、厳しいです」これは小学五年生の子と父親の会話ではない。夫婦の会話である。
そこに僕が割って入った。
「よし、今日は俺が回転ずしを驕るよ」
「おっ、驕ってくれるってよ、儲かったな」と友達が喜んでマーちゃんに言った。
「本当に浅ましいですね。どうしてそういう考えになるんですか?」マーちゃんは吐き捨てる様に言った。
「親に対して浅ましいとは何だよ。だいたいだな、浅ましいって言葉の意味を分かって使ってるのか?」
「お父さんは分っているんですか?」
「えっ?そりゃ、何ていうか、まあ、あれだよ、浅ましいってのはだな・・・」
「心が卑しいって事ですよ」
「そう、そうだよ。お前、良く分かってるな。うん、偉い偉い」小学五年生に押されまくりの父親。
「よし、早く出掛けるぞ!俺も腹減ったし」と言って僕は玄関の方に向かった。
寿司を食べるとすっかり機嫌が良くなったマーちゃん。
「今日はすみませんでした。いつもお世話になりっぱなしで、ほら、お父さんからもお礼を言って下さいよ」
その時、店員が小さな箱を持ってやって来た。
「本日は、お子様連れのお客様に、お菓子の詰め合わせをお渡ししております」マズイと思った。友達も同じ様に感じた様で、僕等は一瞬顔を見合わた。マーちゃんは子供扱いされるのが大嫌いなのだ。
次にマーちゃんの顔を見る。
「やった~。今日来て大正解でしたね」と子供らしく喜ぶ姿に僕と友達は胸を撫で下ろした。
マーちゃんが大声で注文をする。
「すいませ~ん。サーモンお願いします。さび抜きで」

エリア
カテゴリ
こだわり
雇用形態