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最終更新日:2024年04月25日
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第430話「律子さん49」

パートの仕事が見つからないA子は、旦那に散々罵倒されていたのを酷く恨んでいた。
旦那がクビになったらこっちから捨ててやると言ってたA子の言葉が頭の中で蘇った。
A子はかなり前から旦那がクビになるのを知っていた感じで、今思えばどうも腑に落ちない。
「新しい店長って結構イケメンですよね」と田中好子が言った。
「人は見掛けによらないっていうけどさ、あの人が店のオーナーに言って、前の店長を追い出したらしいよ。まあ、美味しくなってお客も入る様になったんだから結果オーライって事なんだろうけどさ」と小林幸子が身体を丸め、小声で言った。
それにしても、この二人の情報収集能力たるやFBIも真っ青だ。どうしてこんな事知ってるんだろう。
少しだけ見える厨房の方を見て田中好子が言った。
「あの人、奥さんか恋人なんですかね。いつも寄り添う感じで楽しそうだし、とっても幸せそう。それに彼女の笑顔って素敵ですよね」
「な~にが素敵なもんか!あたしゃ、あの女も一枚噛んでると見たね。あの笑顔には猛毒がしみ込んでるよ」小林幸子が最後の一切れのピザを口にしながら言った。
私は思わず、お前はババアか!と突っ込みたくなる気持ちを抑え、二人に何処から情報を得ているのか訊いてみた。
「私の旦那の友達の親がここのオーナーなんです」田中好子が言った。
「私の友達の友達がここの従業員なの。どの人か知らないけど」と言って小林幸子は店内に三人居る従業員をそれぞれ見ながら言った。
「狭い街だよね。みんな何処かで繋がってるんだね」と私が溜息混じりに言った。
その時、噂の女性が厨房から水を注ぎにやって来た。
顔を見て私は思わず息を呑んだ。それはA子だった。
私の顔を見て全てを察した様子のA子は、何一つ悪びれる風もなく静かに言った。
「いらっしゃい。どう?美味しくなったでしょ?それにしても偶然律子が来るなんて狭い街よね」と言って目的を果たしたA子はニヤっと笑った。

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