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最終更新日:2024年04月19日
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第440話「落し物」

週末のある日、社員の山本、羽賀、加藤の三人は夜の街へと繰り出した。
「乾杯~」三人は威勢よく大声で叫ぶと、キンキンに冷えたジョッキを鳴らした。
楽しい時間はどんどん過ぎ、酔いも深まっていく。普段は、あまり飲まない羽賀も、かなりの勢いで飲んでいた。
二軒目の店へ行っても三人の快進撃は続く。もう限界だと言いながら焼酎の水割りを飲む羽賀に、知り合いの男性が声を掛けて来た。
久し振りの再会だったらしく話が盛り上がっている様だ。中学の時の友達だと言ってサラリーマン風の男を二人に紹介する羽賀。相手もかなり出来上がっている。
出張で札幌から来ているとの事だった。男は同僚と一緒だった。
次の店へ行こうと店を出た時、羽賀は加藤と山本に旧友と別の店に行くと言って別れた。
「なあ、あの二人似てないか?」と加藤。
「お友達と同僚っすよね。僕、兄弟かと思いましたよ。それにしても羽賀さんかなり酔ってましたね」と言って笑う山本。
「あいつの今日の記憶は無くなってるんじゃないか?おっ、羽賀の記憶が落ちてるぞ」と言って路上に落ちてる空き缶を近くにあったゴミ箱目掛けて加藤は蹴った。偶然にも空き缶は放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれる様にストンと落ちた。
「ナイスシュート!」山本は掛け声と同時に両手を上げる。その手に加藤はハイタッチをすると、次の店へと消えて行った。
翌朝、羽賀は二日酔いによる頭痛に堪えながら家族三人で食事をしていた。
「珍しいよね。あんたがそんなに飲むの」と奥さん。
「後半は殆ど記憶がないんだ。どこかにストンって落とした感じ」
その時、誰も居ないはずの部屋のドアが静かに開き、奥さんと息子の知らない男が出て来た。食卓を挟んで羽賀の対面に座る親子の顔は、まるでお化けでも見たかの様に恐怖で引き攣っていた。
何事かと羽賀が後を振り返ると男は恐縮した様に言った。
「あの~、夕べは飲み過ぎて記憶が・・ここ何処ですかね」羽賀は昨夜旧友を泊めた事を思い出した。慌てて、奥さんに説明している際中に羽賀の携帯が鳴った。
見ると目の前に居るはずの旧友の名前が表示されていた。訳が分からぬまま携帯に出る。
「あの後、俺達どうしたんだっけ?一緒だったはずの同僚が居ないんだ。携帯も電池が切れてるみたいで連絡がつかないし、何処へ行ったか知らないか?」

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