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最終更新日:2024年04月19日
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第449話「忘れてたこと」

携帯が鳴るのと同時に、懐かしい名前が表示された。
「もしかして仕事中?」
「ああ、大丈夫だよ。久し振りだな。どうした?」
「青山の親父さんが亡くなったそうだ。明日お通夜らしい」青山?という名前を頭の中で何度か復唱したが、全く思い当たらなかった。
「誰だっけ?青山って」
「あれ?青山知らない?」
「多分知らないと思う」
「そっか、青山を知らないのか、じゃ関係ないな。忘れてくれ。それじゃ」と言って電話は切れた。
何とも後味の悪さだけが残った。
僕は別の友達に電話をした。
「あっ、仕事中悪い、あのさ、青山って知ってる?」
「ああ、その事で俺も電話しようと思ってたんだ。青山の父さんが死んだってよ」
「だから誰だよ。青山って」
「えっ?知らないの?青山」
「知らないって、さっきも電話がかかってきてさ、お前と同じ事言うんだよ。誰だよ青山って」
「いや、知らないならいいよ。お前には関係ない」そう言い残すと電話は切れた。
もう一人にも電話してみた。
「あのさ・・」と僕が言い掛けて直ぐに友達が言った。
「おっ、ちょうど今、電話しようと思ってたんだ」
「青山の父さんが死んだんだろ?」僕から先に言った。
「何だ知ってたのか」
「知ってたけど、知らないんだよ、誰だ青山って」
「知らないなら関係ないな」
「ちょ、ちょっと待てよ」携帯は既に切れていた。
何でみんな教えてくれないんだ?重い足取りで家に帰ると妻が言った。
「明日お通夜でしょ?青山さんの」
「何だよ、お前まで青山か、知ってるのか?青山って」
「何言ってるの、あなたの後ろに居るじゃない」僕は慌てて後ろを振り返った。
そこにはスーツを着た、顔の無い男が立っていた。
恐怖のあまり、ハッと目が覚めた。夢?夢か・・・それにしても変な夢を見た。
朝食を済ませ、出社しようとした時に妻が言った。
「今日は会社帰りに寄るの忘れないでね」
「寄るって何処に?」
「ほら、忘れてる。礼服取りに行くんでしょ、青山に」

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