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最終更新日:2024年04月19日
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第450話「律子さん54」

父が車に轢かれてから一週間ほどして母が来た。
「あの時は、気が動転しちゃってね。だってお父さん家の目の前で轢かれたんだよ、そりゃもうびっくり」
「良かったよね、どこも怪我がなくて、だけど驚くのは分かるけど、もっと分りやすく説明してくれなきゃ、またお母さんの悪ふざけだと思っちゃったんだから」
「御免ね。こういう時に信じてもらえないんだよね。普段冗談ばかり言ってると」
「サトちゃんも反省する事があるんだね」主人が笑いながら言った。
「そりゃそうよ。私の人生は反省の連続よ」
「それでも懲りないってどうなの?」私が言った。
「そうなんだよね、つい悪ふざけをしちゃうのよ。後先の事を考えずにね」
「あまりドギツイのは無しとして、ほどほどにしとけば良いんじゃない?それが無くなるとサトちゃんじゃなくなっちゃう」と主人。
「あらそう?あたしらしくない?」と言って母の眼が一瞬輝く。
「なに余計な事言ってんのよ。少し黙ってなさいよ」
「そんな酷い言い方しなくたって、婿殿は私の為に言ってくれてるんだから」
「あのね、あんた達ちょっと変だよ。サトちゃんとか婿殿とかさ。この人は家に婿入りした訳じゃないし、変な呼び方しないでよ」
「お互い納得してるんだから問題ないでしょ」
「そうだよ、全然問題ない」
「私があなたのお父さんを周五郎だからシュウちゃんて呼んだらどう感じる?」
「別にどうも思わないけど」
その時、玄関のチャイムがなった。ドアを開けると、そこには何と、主人の父親が立っていた。あまりの偶然に一瞬言葉が出なかった。
「ちょっと近くまで来たもんだから寄ってみたんだよ」
「あら、シュウちゃん、お久しぶり、お元気でした?」
「シ、シュウちゃん?」驚いて声が裏がえった義父を家に迎え入れた。
「えっ?どうした?あらら、何だか懐かしいな。しばらく行ってないな、こんな感じの店」鼻の下を伸ばした父親の顔を見て、主人の眉間には深い皺ができていた。

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