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最終更新日:2024年04月25日
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第451話「マーちゃん32」

友達の息子である小学五年生のマーちゃんは、礼儀正しい子で、話していても子供だという事を忘れる事が多々ある。
父子家庭なので、忙しい友達の代わりに僕が時々映画に連れて行ったり、釣りに連れて行ったりしてはいるが、子守りといった感覚は全くない。父親である友達と酒を飲んだり話しをしたりするよりも、マーちゃんと居る方がはるかに楽しい。
雪が止み、初の積雪となったこの日も、まだ除雪の済んでいない道を車を走らせ、マーちゃんに会いに来た。
ちょうど、マーちゃん親子が住むマンションの裏手に来ると、雪かきを手にした子供二人に、お婆ちゃんがお金らしき物を渡していた。
歩道から玄関先迄を除雪したばかりの様で、除雪した孫に小使いを渡している。そんな感じだった。
マンションに到着し、ピンポ~ンと鳴らすとマーちゃんが笑顔で迎えてくれた。
「雪、降っちゃったな」
「そうですね、でも雪が降って嬉しいですよ。僕」
「えっ?寒いし道が悪いし、何一つ良い事ないだろう」
「そんな事ないですよ。雪だるまを作ったり、友達と雪合戦したり、遊びのバリエーションが増えて楽しいじゃないですか」
「子供はそうだろうな」
「だって僕、子供ですから」
「そうか、そうだった」
「ここのマンションは除雪が入ってくれるんだろ?」
「はい、さっき来て除雪してくれました。でも、ここの裏に住んでるお婆ちゃんの家は雪が降ると大変なんですよ。もうお歳だから、僕が玄関先を除雪してるんです」
僕の頭の中に、さっき見た光景が頭に浮かんだ。
「大雪の時はお父さんも手伝ってくれるんですよ」
「親子でボランティアか」
「そんな大げさなもんじゃないですけどね」
「いやいや、立派なボランティアだよ」
「でも、それって無償でやった場合ですよね」
「まあ、そうだな。奉仕するって事だから」
「ですよね。去年から除雪してるんですけど、僕、行くのが嫌になって来てるんです」悲しそうな顔でマーちゃんは言った。 つづく

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