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最終更新日:2024年04月25日
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第460話「叔父28」

叔父からの電話だった。
「久し振りだなおい。元気にやってるか?最近、Q太郎君にも載らないからよ」
Q‐jin君の事を言ってる様だ。叔父にとってのQは、オバケのQ太郎をイメージするらしい。
「投資に土地を買わんか?」
「昔と違って今は持ってれば上がるっていう時代じゃないでしょう」
「いや、また土地が上がる時代がやって来るって」叔父は、バブル期に東京でも不動産業をしおり一時、億単位の金を儲けた事があったが、バブルと一緒に財産も弾け、多額な借金
だけが残った。その時の望外な栄華をもう一度夢見ている姿は、弾け散ったバブルを追い求めるゾンビの様だ。
「お前も買ってくれないし、こりゃ廃業せんといかんな」
「俺のせいなのかい」
「冗談だよ。いやな、もう俺も歳だかんな、この先は年金と多少の蓄えで、婆さんと二人で余生を楽しもうかと思ってよ」
「やっとその気になったね」
「前からお前には言われてたもんな、何しろ身体が元気なもんでよ、なかなか踏ん切りがつかんかったんだ。まだやれる、まだやれるって思ってな。でもな、そう思ってる内に辞め
た方が良いんだよ、働けなくなって辞めたところで、その後はどうすんだって事だ。身体もいう事が利かんくなってるし、やりたい事だってできなくなっちまうだろう。だからまだ
余力がある内に余生を楽しもうと思ってな。だけど俺はこれから何をしたら良いんだろうな。一日が長いこと。このままじゃボケちまう」叔父は泳ぐのを止めたら死んでしまうサメ
の様に昔からじっとしていられない性分だった。
「叔母さんと旅行にでも行ったら良いんじゃない?」
「婆さんと旅行か・・・」
その日はそれで話が済んだ。
何日かした後、叔父から画像添付のメールが届いた。
それを見て僕は、叔父の素早い行動力と大胆な実行力に感服したと同時に、叔父らしいと思った。
画像には、真夏の様な格好をした叔父と叔母が笑顔で仲良く並んでいて、その後ろにはアンコールワットがあった。

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