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最終更新日:2024年03月29日
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第468話「まだ4月」

山本が窓の外を眺めながら言った。
「春だね。暖かくなったよね・・・うん?今、羽賀さんがチャリで窓の外を通り過ぎた様な・・・」
「まさか~いくら何でもそれは・・・・あっ、本当だ」と驚く女子社員。
「お早うございます」挨拶をしながら、羽賀は自転車用の変な形をしたヘルメットを外すと、手櫛で髪の毛をなでながら席に付いた。
「お前、馬鹿だろう」加藤が驚いた顔で言った。
「だってもう四月ですよ」
「まだ四月だっての」
「帰りはどうすんだよ」
「勿論ロードレーサーで帰りますよ。ひと漕ぎすれば直ぐに温まりますよ」
「どうでもいいけど、風邪だけは引くなよ。皆に迷惑が掛るからな」
昼時になり羽賀が言った。
「シーズン始めは膝や肘の関節が痛くなるんだ。身体がまだ慣れないんだな」
「そういうもんすかね」と全く興味が無さそうな山本。
いつの間にか外は寒風が吹きすさみ、太陽は厚い雲に覆われていた。退社時間を迎えた頃には、風は益々強くなった。
出社時と同じ変てこなヘルメットを被り、羽賀が帰宅しようとした時に、加藤が送って行くから自転車を置いていく様に言ったが、羽賀は大丈夫の一点張りだ。
結局、羽賀はロードレーサーなるもので帰宅した。
それから少しして、山本が加藤に言った。
「まだ帰らないんすか?」
ちょうどその時、加藤の携帯が鳴った。やっぱりと言って山本に携帯を見せると、そこには羽賀の名前が表示されていた。会社を出て二十分程が経過していた。
加藤は車中で、しきりにくしゃみを繰り返す羽賀に呆れながらも自宅へと送った。
翌朝、羽賀から熱があって休むとの連絡が会社に入った。かなりの高熱らしい。
その後、直ぐに加藤からも同じ内容の連絡が入った。
「羽賀の馬鹿にうつされたってメチャクチャ怒ってましたよ」と女子社員が笑う。
「昨日、羽賀さん関節が痛いって言ってたけど、きっと熱があったからだね」と言って女子社員と笑いながら、山本は大きなくしゃみをした。

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