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最終更新日:2024年03月29日
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第476話「謙虚な男」

友達と居酒屋で飲んでいると三十代前半と思われる男が声を掛けてきた。
どうやら友達の知り合いの様だ。仕事帰りなのか細身のスーツをビシっと決めている。履いている革靴もピカピカに磨き上げられており、見るからに
几帳面というか、神経質な性格であることは想像に難くない。
「今、会社の同僚と一杯やってたところです」と男。
「仕事の調子はどう?」
「まだまだですね。もっともっと頑張らなければだめだと思います」
「相変わらず自分に厳しいんだね。でもほどほどにね」
「はい、それより僕みたいな出来損ないの人間に職場をご紹介頂きましたこと、心より感謝しております。ありがとうございました」
「いやだな~こんな所で、それに出来損ないだなんて、相変わらず謙虚だね」この後も友達は二言三言会話をした後、男は丁寧な挨拶を済ませて帰っ
て行った。
友達の説明によると、男は友達が務める会社の得意先で働いていたのだが、完璧を求めるあまりに自分を追い詰めてしまい、精神的にも不安定になっ
たのが原因で、会社を辞める事になったらしい。
「また今の職場でも同じ結果になったりしないのか?」
「俺もそこを気にしてるんだよ。紹介した職場も会社の取引先なんだけどさ、何かにつけ自分自身を責めるらしいんだ。だから時間の問題かもしれな
いな」と残念そうな顔をする友達。
「ちょっと変わってるな」
「そう、自らを絶えず戒めてるって言うか、究極のドMなんだよ」と笑う。
その時、店員の一人が友達のそばに来て言った。
「先ほどお話していた方はお知り合いでしょうか?」そうだと友達が答えると、男の座っていた席の下に落ちていたと言って黒いカードを手渡し、逃
げる様にして僕等の前から立ち去った。
友達はカードの名前を確認してから携帯を取り出して番号を押すが、何を思ったのかその手を途中で止めた。
「どんな顔でこれを渡せば良いんだ?」友達は困った顔で僕にカード突き出す。
「会員証か?SMクラブって・・・洒落にならんだろ」

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