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最終更新日:2024年03月28日
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第474話「いとしのエリー」

隣りの爺ちゃんは祖父と幼馴染で、昔はかなりの遊び人だったそうだ。そのせいなのか、頭の固い祖父とは違い、ユーモアがあって会話も楽しかったので、僕が子供の頃にはよく
遊んでもらったものだ。
季節外れの猛暑にたまらず窓を開けると、祖父の声がした。
「何を埋めるんだ?」
「花子が死んだんでな、そこのヤマボウシの木の根元に埋めてやろうと思ってな」
どうやら隣りの爺ちゃんと話してる様だった。
「花子って誰だ?」
「金魚だ。二十年飼ってた」
「ああ、思い出した。でっかくてみったくなかったやつな」
「そうそう、でも一番可愛かった。愛嬌があってな、笑うとえくぼが出て、そりゃ可愛かったな」
金魚って笑うのだろうか?何だか妙な会話だ。隣の爺ちゃんもいよいよボケたか?
「どら、そのシャベルを貸せ、俺が穴ほっちゃるから」
隣りの爺ちゃんは最近、持病の腰痛が酷いと昨日祖父から聞いたばかりだった。
祖父がシャベルでザクザクと穴を掘る音が聞こえる。
「あれ?何だこの変な石。穴だらけだな」隣りの爺ちゃんにも分からない様だった。少し気になったので僕も隣りの庭へ向かうと、早速祖父は不思議な石を僕に見せた。
「これさ、亀の節子じゃない?手足が無くなって甲羅だけが残ったんだよ」
「そうか節子か、じゃあそこの横だな」祖父は節子の甲羅を埋め戻すと、言われた通りの場所を堀り始めた。
「ネズミの骸骨だな。ほら、長い歯がついとる」また祖父は何かを発掘した。
「それはリスの松子だな」
「松子か、懐かしいね。良く懐いてたっけね」子供の頃の僕の肩に乗って遊ぶ松子を思い出した。
でも今思えば、花子に節子に松子。ペットに付ける名前としては何か違和感がある。
「松子の時は大変だったな。お前の女房が離婚するって大騒ぎだった」と笑う祖父。
「リスが離婚の原因って?それにさっきも金魚が笑うって言ってたよね」僕が疑問を口にすると、老人二人は大笑いした。
「そうか、お前はまだ子供だったからな、もう大人だから言うけど、こいつ浮気した女の名前を飼ってる動物につけてたんだ。それも別れた後でな。女々しい奴だろ。最後の松子が
女房にばれてな、大変だった」と言いながら祖父はまた何かを掘り出した。
「あっ、こりゃ鳥じゃないか?口ばしがあるぞ」
「松子は最後じゃないだ。俺にしてみりゃそれが最後のレイディ。インコのエリーだ」
僕にとってはかなり面白かったが、祖父には理解できない様だ。
「最後の女は西洋人か!」

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