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最終更新日:2024年04月19日
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第481話「不治の病」

家の近くのゲートボール場で、一人だけ大声で威張り散らしてる老人が居た。見覚えのある顔だったので家に帰って祖父に訊いた。
「坂田さんの爺ちゃんみたいな人が大声出してゲートボールしてたけど、違う人だよね」
「いや、それ坂田の爺さんだよ」と何食わぬ顔で言う祖父だが、そんな訳がない。
「だって、癌で死にそうなんじゃなかったっけ?」
「元気になったんだ。確か先月退院したはずだぞ」
「何?癌が治ったって事?」
「半年ぐらい前に見舞に行った時は、先に逝って待ってるなんて弱気な事言ってたんだけどな」
「それで爺ちゃん何て言ったの?」
「お前みたいなのに待っててもらわなくても結構だ。どうせ迎えに来てもらうなら美人の方が良いってな。お前みたいなジジイが迎えじゃ死んだ俺が可哀そう
だって言ってやった」
「爺ちゃん酷いな」
「あいつはな、昔からそうなんだけど、甘やかしたらダメなんだ。直ぐにその気になりやがる。逆療法てのが一番効くんだよ」
「それで癌が治ったって?」
「そうとは言わんが、病は気からって事もあるだろうからな。まあ、今は良い薬もあるし、早期発見で助かったって事なんだろう」
「だけどあの歳で良く治ったもんだよね。凄いよ」
「そうだな。でも、もう歳だし、あの世に行くのが少し先になったってとこだな」
「最新医療と爺ちゃんのおかげって事か」と僕が笑う。
「確かに俺のおかげってのは大きいな」と笑った後、祖父は大きな溜息をついた。
「どうしたの?治って良かったんじゃないの?」
「そうなんだけどな、あいつの場合、もっと深刻なガンがあるんだよな」
「えっ?じゃ何処かに転移とかしてたって事?」
「いや、癌は治ったんだけどな・・・・」
「治ったけど何?」
「あいつの場合、性格が悪過ぎる。意地悪ジジイってやつだ。性格そのものがガンなんだよ。あの歳じゃ、もう治らんだろうな。不治の病ってやつだ」

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