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最終更新日:2024年04月19日
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第492話「風邪?」

クシャミが止まらない父は鼻をかみながら言った。
「風邪引いたかな?最近、朝晩肌寒くなって来たしな」
「でも、珍しいんじゃないの?風邪なんて滅多に引かないのにさ」
「晩酌の量が足らんかな?身体を消毒しきれてないってことだな」
「晩酌って身体を消毒する為に飲んでたんだ」
「そうだよ、お前何だと思ってたの?身体の悪い菌をアルコールで消毒してるんだよ」と言ってる先から三回連続でクシャミをした。
「熱は?計ってみなよ」僕は父に体温計を渡した。
「熱は無いと思うんだけどな」と言いながら父は体温計を脇に挟んだ。
一分後にピピピと鳴った体温計を手にし、平熱だと言いながらもクシャミを二回。
「念の為に飲んどくか」と父は冷蔵庫からユンケル皇帝液と一緒にかぜ薬を飲んだ。風邪にはこれが一番だと信じて疑わない父。
その日の夕方、僕が出先から戻ると、父は目を充血させながら涙ぐんでいた。
「何だよ、何かのアレルギーじゃないのか?」午前中より明らかに悪化している。
「花粉症の時期でもないし、なった事もないんだけどな」鼻をグシュグシュさせながらティッシュで涙を拭いている。何とも悲惨な状態だ。
「アレルギーといえば俺の場合は猫アレルギーぐらいだしな。家に猫は居ないし、やっぱり風邪なんだろうな」
「マスクしろよ、爺ちゃんにうつったらマズイだろ。年寄りにしたら、たかが風邪でも命に関わるかも知れないんだからさ」
「おお、そうだな。多分殺しても死なんと思うけどな」と笑いながら父はマスクをした。その時、奥の部屋の方から、何かがバタバタと床を鳴らす音が聞こえた。
「何だ?爺さん何騒いでんだ?」と頭を捻る父。
「きっと、また部屋の掃除でもしてるんじゃない?」
僕と父が祖父の部屋の戸を開けると、何か小さくて黒っぽい物体が、凄い勢いで僕等の足元をすり抜けて行った。その後に祖父が叫びながら続く。
「ニャン太!ダメだよ、そっち行ったら、ニャン太!」

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