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最終更新日:2024年04月19日
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第499話「願いごと・前編」

友達の家に行くと7歳の翔太が飛び付いてきた。
「翔太、サンタさんにはプレゼントのお願いしたか?」僕が何気に訊く。
「うん、したよ」
「何をお願いしたの?」
「それは、な・い・しょ」
「何だよ、教えろよ」
「あのね、お願いごとを人に言ったら、かなえてもらえないだよ」
「えっ?そうなの?」
「うん、そうだよ。上のおばあちゃんが言ってた」マンションの上の階に住む人のことを言ってる様だ。
「じゃ、パパやママにも言ってないの?」
「そうだよ、パパもママもしつこく聞くけどね。僕は絶対に言わないんだ」
「去年は言ったんだろ?」
「うん、僕がお願いしたのと違うプレゼントだった。だから、今度はないしょにする」と言って、台所に居る母親の方に走って行った。
「困ってるんだよ、何が欲しいのか言ってくれないからさ」と困惑顔の友達が小声で言った。
「去年は何で欲しい物をやらなかったんだ?」
「売れ切れてたんだ。それで代わりの物にしたら、気に入らなかったらしい」
「よし、じゃ俺に任せろ」と言って、友達に必要な物を用意するように言うと、台所の翔太に向かって声を掛けた。
いつの間にかパジャマに着替えた翔太に、僕は鉛筆を持たせながら言った。
「翔太、クリスマスはサンタさんも忙しいんだ。世界中の子ども達にプレゼントを配らなきゃならないからさ、翔太がお願いしたプレゼントをまた間違えちゃうかもしれないよ。だからさ、この紙に欲しい物を書いてサンタさんに送ろう」
「そっか、サンタさん忙しいもんね。分かった。みんなに見られない様に部屋で書くね」あくまでも内緒を貫きたいらしい。
翔太は紙と鉛筆、それから封筒を持って自分の部屋へと行った。
やっぱりまだまだ子どもだ。可愛いもんじゃないか、これなら訳ないな。そう思った矢先、翔太は笑顔で僕の傍にやって来ると、封筒を手に予想外のことを言った。
「できた~。住所は何て書くの?」    つづく。

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