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最終更新日:2024年03月28日
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第500話「願いごと・後編」

思いもよらぬ翔太の言葉に僕は一瞬言葉が詰まった。
「じゅ・・・住所?住所はいらないのだ」それを聞いた翔太が大笑いする。うっ、ちょっと動揺してしまった。
「サンタさんへって書けばいいから」と冷静を装うが、
「切手もいらないのだ?」翔太が笑ってる。くそ~こいつ完全におちょくっとる。
「ああ、切手もいらない」
「ポスト行くの?」この辺だけ妙に現実的な事を言う。
「僕が行って出す」ありゃ、そう来たか・・・。だがここで母親が出てきて起点を利かす。さすが母親だ。
「子どもはもう寝ないとね」
「嫌だ!僕も行く」
「ダメ!ちゃんということ聞かないとサンタさんお願い聞いてくれないんだから。それにもう寝る時間だよ」
渋々お休みなさいと言う翔太に、内心ほっとしながら、「お休み、ちゃんと出しとくから心配すんな」
「うん」と明るく返事をすると、翔太は部屋に戻った。
「危なかったな~。何でポストなんて言ったんだよ。枕元に置いとけとか言っとけば良かったのに」と友達
が笑う。
「大人ってダメだな。つい現実路線で物事を考えちゃう」子どもって結構手ごわいし意外と面倒だ。
翔太が寝たのを確認すると、僕は、手紙を友達に渡した。
夫婦で何が書いてあるのか興味津々といった顔で封を開け、中身を見た友達は意外そうな顔で奥さんを見た。
奥さんも同意見の様だ。
「あいつ気を使ったんじゃないか?人気商品だと買うの大変だと思ってさ」
「去年おもちゃ屋さんが混雑してるのをニュースでやってるの見てたからね」
「って、いうことは勘づいてるってことか?」
「そういう事は言わないの、現実路線から完全に離れないとダメだって。ファンタジーにはファンタジーで応
えなきゃ」子どもにバレてないと思うことも大人にとってのファンタジーなのだ。
僕は翔太の手紙を約束通り見なかった。年に一度ぐらい子どもの夢に付き合うのも悪くないと思ったからだ。
今年のクリスマスは翔太の願いが叶うだろう。だって約束を守ったのだから。

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