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最終更新日:2024年04月19日
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第502話「律子さん63」

買い物にでも行こうと玄関の戸を開けると、男の子が雪玉を作っていた。
「あら、何作ってるの?」
「雪だるま」と元気に叫ぶが、雪玉の周りに手でペタペタと雪を張り付けている。
最近の子は雪だるまの作り方も知らないのかしら。
「そんなんじゃダメよ。雪玉を雪の上で転がすのよ」
私が見本を見せると、男の子は大喜びして私の作った雪玉を再び転がし始めた。
「道路に出ちゃダメだよ」
「は~い」色白で可愛らしい子だ。六、七歳だろうか。
スーパーは随分と混雑していた。店員と何やら興奮気味に話をしている外国人男性もいた。オーバーなジェスチャーを交え、たどたどしい日本語で話している。落とし物をした様な感じだ。見つかると良いが。
家に戻ると、玄関前に大きな雪だるまがあった。あの子一人でどうやってこれを作ったんだろう。すると、後ろから男の子が父親らしき男性と一緒に大きな雪玉を転して来た。親がついていながら、人の家の玄関前とは非常識にもほどがある。私が文句を言うと、男は驚いた顔で言った。
「えっ?ここの子じゃないんですか?」
「あなた父親じゃないの?」男はブルブルと首を横に振って、通り掛かったら重そうだったので、手伝っただけだと言った。
肩で息をする子どもを良く見ると、見慣れない顔をしていた。
「あなたどこから来たの?」男の子は人懐っこい笑顔で東京から来たと言った。親と一緒に里帰りでもしてるのだろうと、名前を訊く。
「僕の名前はベルナルド。パーパがイタリア人でマンマが日本人なの」男の子の突拍子もない発言に、私の思考回路が一瞬止まる。
「じゃ、ママの実家に来たんだね」と男性が訊く。
「ジッカってなに?」男の子が頭を捻る。今度は私が男の子に訊く。
「東京に住んでるんだね」
「違うよ、住むのはサンタモニカ」一々発音が良い。
「だって東京から来たって」
「ここ来る前、バカンスで東京にステイしてたから」
「じゃさ、ここで雪だるま作る前はどこに居たの?」
「スーパーマーケット」私は、アッ!と叫ぶと、携帯を取り出し、今行ったばかりのスーパーに電話をした。

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