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最終更新日:2024年04月19日
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第504話「新年会・前編」

この地区に十年近く住んでいるが、町内の新年会に出席したのは初めてだった。
何故出席したかというと、順番で回って来た役員に当たってしまったからだ。
役員といっても大した事はしていない。町内の行事でスタッフとして、ちょこっとお手伝いした程度だ。今日はその引継ぎも兼ねている。
会場である近くの公民館へ行って驚いた。今日は敬老会なのか?と思う程、爺さん婆さんでうようよしてる。
自分と同じ年代か若い人を探すと、枯葉の中に青葉がポツリポツリと混じった感じで、何とも場違いというか異質な感じさえする。
まずは総会をしてから新年会。この総会が殊の外揉めた。はっきり言ってそんな事どうでも良いじゃんって思える程つまらない。
私が会長だった時は・・・。と鼻の孔を広げて喋る老人。
昔はこうだった。と興奮気味に顔を赤らめて喋る老人。
世の中は絶えず変動しているのだ。古い固定観念に縛られた年寄りの意見など老害以外の何者でもない。若いもんに任せておけよと言いたい気持ちだが、ここ
は静観を決め込む。ぶっちゃけ小心者なんです。
その後、一時間近く延びた末に新年会が始まった。
僕のテーブルに町内会長が座ったが、総会では吊るし上げに近い状態だったもので、仏頂面をしている。
「もっと能率を上げる為に無駄なものを排除したつもりだったんですけどね」残念そうに会長は呟くとビールを口にした。
「間違ってないと思うな。若い人達の感覚でやっていけば良いんだよ。気にすることないよ。年寄りの冷や水だと思ってさ。私達が手伝えることがあれば喜ん
で手伝うよ。自信持って良いと思うよ」隣に座る八十歳の老人が笑って会長の背中をポンポンと叩いた。礼を言いながら頭を下げる会長。
やっぱり年寄りはこうでなきゃ、こういう風に歳を取りたいものだ。まさに理想の老人だと思った。そう、この時までは・・・。
年寄りばかりの宴会でも酒の量は馬鹿にできない。テーブルの上にあったビール瓶が驚くべき速度で空き瓶になっていった。つづく。

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