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最終更新日:2024年03月28日
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第508話「律子さん64」

家に着き、車から降りると子どもの声がした。
「きったねー車」小学生の高学年らしき三人組が歩きながら言った。
「悪かったわね汚くて」
「やっべ~逃げろ」私が居た事に気づかなったのか、三人は雪解けが進み、ぬかるんだ道をバシャバシャと音を手てながら走り去った。
「何なのよ、失礼しちゃう」と独り言を言ったのはいいが、良く見ると本当に汚い。今時期はどうしても汚れるのは仕方ないにしても、余りにも汚い、汚なす
ぎる。
その日、私は夕食の買い物を早めに済ませて洗車場へ行くことにした。
私はドライブスルーの洗車機に突っ込むのを常としている。手洗いなんて手間の掛かる事はしない。同じ綺麗になるのなら、より簡単な方がいいに決まってる。
今日は晴天に恵まれたせいか、洗車場は驚くほど混雑していた。これでは待っている時間が勿体ないし、夕食を作る時間が無くなってしまう。日曜日ぐらいは
愛する旦那様に手の込んだ料理を作る事を心掛けて来た。だからこんな所で時間を潰すわけにはいかないのだ。
早速手洗いの洗車場へ行く。やってみると、さほど時間は掛からなかった。車はタオルで水滴を取ると、見違えるほどの輝きを取り戻した。さっきまでの車と
はまるで別人、いや、別車だ。心を込めて車を洗ってあげると、ドライブスルーの時よりも何だか車が嬉しそうに見える。
帰路への途中、ウインカーを出して直進車をやり過ごしていると、ダンプカーが三台連なってやって来た。多少の泥はねは仕方ないと覚悟していたら、頭から
バシャ~と泥水を三回立て続けに被った。私の努力はものの三分で水の泡となった。
泣きたい気持ちで自宅に着くと、ちょうど主人も外出先から戻ったばかりだった。
「きったねー車」小学生並みの言語中枢と、人の気持ちも知らないで勝手な事を言うクソ亭主に腹が立ち、私の怒りはいきなり頂点に達した。
「どうせ暇なんだから私の車洗ってきなさいよ!」キーを投げつけると、主人はハイ!と大声で返事すると、慌てて私の車に乗り込んだ。

 

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