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最終更新日:2024年04月19日
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第522話「律子さん67」

うちの会社には、芸能人と同姓同名が二人いる。
小林幸子と田中好子だ。
「私、太っちゃったんです」田中好子が私の傍に来て残念そうに言った。
「全然分からないけど」私は思ったままの事を言った。
「お腹の辺りが少しふっくらしてません?二キロも太ったんですよ」
「あら、私と同じじゃない、分かる?太ったの」小林幸子がワイン樽の様な体形を見せつける様にして言った。
「ぜ~んぜん」と私は思わず笑いながら言った。
「いつも食べてるたい焼きの餡子が二グラム増えてたって分からないよね。二キロなんてそんなもん」と力士がまわしを叩く様に腹をポンと叩きながら笑った。
「律子さんて太らないですよね」田中が言う。
「太らないたちなんだ」と私は言うが、そんな事はない、私は毎朝二キロ走って体形を維持している。そう、私は努力しているのだ。
「人にはその人なりの体形があるんだよ、太るのは自分に適した体形に近づいてるって事なの、だから自然に任せるのが一番なんだ」慰めとも何とも言い様の
ない言葉を残して自分の席へ戻って行く小林。
「豪放磊落って言うんですか?小林さんみたいな性格になりたいな」と田中は言うが、果たしてそうだろうか?小林は社内でもわりと細かい事に気がつくのだ。
応接室の掃除が少しでも行き届いてないと、掃除担当の女子社員を怒ったり、伝票の字が汚いと注意したり、上げればきりがない。
退社時間になり、田中と一緒にスーパーへ寄ると、隣りにできたばかりのスポーツジムがあった。それを見て田中が言った。
「ここの会費って凄く高いんですよ、マンツーマンで指導員が付いてくれて、食事のメニューも作ってくれるんですって」ガラス張りのスポーツジムの中を見ると、太めの女性がタオルを首にかけ、ランニングマシーンの上を走っていた。その様子に田中は気づかない。
私も気付かなかった事にしよう。でも明日どういう顔をして接したら良いのだろう、小林幸子に。

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