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最終更新日:2024年04月19日
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第523話「生ハム」

弁当を食べる羽賀に笑いながら山本が言った。
「あっ、それ豚肉っすね」
「これは大丈夫だって、うちの奥さんが作ってくれたんだから」と笑う羽賀。
「豚肉がどうかしたんですか?」と女子社員。
「昨日、うちの奥さんが子供と出掛けるって聞いてたのに、会社帰りに弁当買うの忘れてさ、家に帰ったら食べる物が無くて、買いに行くのも面倒だし、冷蔵庫に冷凍のご飯があったからチンしてさ、他に生ハムとレトルトのハンバーグもあったんで、それをおかずにしたんだ」
「一食分を冷蔵庫から見つけ出したんですね」
「うん、ご飯とレトルトのハンバーグは良かったんだけど、生ハムが不味くてさ」
「不味いってどんな?」
「生臭いっていうかさ、味もしなくてさ、生ハムって普通は塩気があって、しょっぱかったりするだろ?」
「そうですね、結構塩気はありますよね」
「うん、それでちょっと変だなと思ったけど、塩とドレッシングしたら、まあまあ食えたんだよね」
「それってもしかして・・」
「そうなんだ、後で奥さんに訊いたら、生肉だった」
「普通、気付くでしょ」
「それがさ、何日か前に生ハムを食べた時のパックに余った肉を入れておいたらしいんだ。生ハムの写真が付いたパッケージに入ってたもんで、何の疑いも持たなかった」
「お腹は?大丈夫でした?」
「うん、大丈夫だ」
「前に、こてっちゃんを生で食べてひどい目にあったって誰かのエッセイを読んだことありますけど、それに匹敵しますね」
「こてっちゃんって、ホルモンか?ちっちゃい袋に入ったやつ?あれ焼くのか?」
「そうですよ、まさか・・」
「焼くのか・・・そうか!日本酒のせいじゃなかったんだ、ゲロ吐いたの」
「えっ?日本酒は身体に合わないって飲まなくなりましたよね」と山本。
女子社員は呆れたのを通り越し、憐れむ様な目で羽賀を見つめて静かに言った。
「羽賀さん、よく今迄生きてこれましたね」

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