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最終更新日:2024年03月29日
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第533話「マーちゃん42」

友達の家に遊びに行くと、いつもの様にマーちゃんが迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」とは言うが、何だか元気がない。
マーちゃんは友達の息子で小学五年生。いつも大人には礼儀正しく敬語を使う。
「あれ?どうした?今日は元気ないな、またお父さんと喧嘩でもしたか?」
「いえ、そんな事ありませんよ、僕は至って元気です」
「そうは見えないけどな」
「そうですか・・・身体は元気なんですけど、心が傷ついているんだと思います」
「何だよ、何で心が傷ついてるんだよ」
「僕は・・・お父さんにとって不要な人間なんだそうです」うつむきながらマーちゃんは、今にも消えそうな声で悲しそうに言った。
「何だよ、不要な人間って、逆なら分かるけどな」と僕は笑うと、マーちゃんは更に深刻そうな顔で僕を見た。
「お父さんがそう言ったのか?」マーちゃんは嗚咽を漏らしながら大きく頷くと、遂には泣き出してしまった。
間もなくして友達が会社から帰宅した。
マーちゃんは泣き顔を見られたくなかったのか、自分の部屋へと逃げ込む様にして居なくなった。
「マーちゃんに何か言ったか?」僕は友達に訊いた。
「うん?どうした?何かって何だ?」と悪びれる様子も無く、のほほんと答える友達。
僕は傷ついたマーちゃんの心の内を説明した。
「何を馬鹿な事言ってるんだよ、俺がそんな事言う訳ないじゃん」その時、友達の携帯が鳴った。ご免と言いながら耳に当てる。
「ご苦労様。まだ仕事か?総務は忙しいんだな。何だよ、また昨日の続きか、そうだ扶養家族は息子一人だって」
その後、携帯を切った友達に僕が訊いた。
「その電話昨日も来たか?」
「うん、会社で済ませれば良いのによ」と面倒そうに言う友達。
「なるほど、扶養と不要か」僕が笑ってそう言った時、マーちゃんの部屋の戸が乱暴に開いた。
「今、ハッキリ言いましたね。息子は不要な家族だって、不要で結構です。僕はこれから施設に入ります

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