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最終更新日:2024年04月19日
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第545話「律子さん71」

旦那が浮気してるかも知れないと泣きながら電話をしてきたA子の家に行った。
玄関の呼び鈴を鳴らすと犬の吠える声が聞こえた。
居間には、真っ黒でブサイクな小型犬が私を見て唸り声を上げている。
「モモちゃんダメでしょ。お母さんのお友達なんだからお利口にしててね」A子の言葉が分かるのか分からないのか、ブサ犬は寄らば噛むぞとでも
言わんばかりに頭を下げ、上目遣いで唸り続けている。
「犬を飼いたいって言ってたもんね、何て犬種なの?」
「フレンチブルドッグ、女の子、ブサイクだけど愛嬌があって可愛いでしょ?」
「全然可愛くない。どうせあんたの事だから甘やかしてるんじゃないの?」
「うん、もう可愛くて怒れないの。だから我がままになっちゃって旦那の言う事しかきかないの。私の言う事なんてどこ吹く風よ」そう言いなが
ら、お茶の用意をするA子だったが、お茶っ葉がないらしく、A子は私の静止も聞かずに、スーパーへと出掛けてしまった。
残されたのは私とブサ子。
「コーヒーだって何だっていいのに、あんたの飼い主は相変わらずのん気っていうか要領が悪いっていうか」私はブサ子に話しかける。
「おい、ブサ子おいで」と私が手を出すと、何の前触れもなく、ブサ子はパクンと私の手を噛んだ。掌にポツンと小さな穴が開いて血がゆっくりと
滲み出てきた。
「痛っ!お前!噛んだな!」私は大声で叫ぶと、ブサ子の首輪をムンズと摑み、私の方へ引きずり寄せると鉄拳を三発食らわせた。
しばらくしてA子が戻ると、ブサ子は吠えながらA子の足元にじゃれついた。
「モモちゃん寂しかった?」と猫なで声を出すA子を尻目に、私は大声で叫んだ。
「ブサ子!うるさい!お座り!」ブサ子は吠えるのをピタッとやめると私の前に来てビシッとお座りをした。
「お手!」ビシッ。
「おかわり!」ビシッ。
「うそ!」と驚くA子。
私はブサ子の頭を撫でながら言った。
「甘い顔したら付け上がるのは、犬も亭主も一緒だね」

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