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最終更新日:2024年04月19日
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第555話「律子さん73」

玄関のドアを開けるとA子が手土産らしき物を携えて立っていた。
約束の時間からは、既に四十分ほど経過していた。
「こんにちは、ご免んなさいね遅くなっちゃって」A子はいつものお決まりの挨拶をしながら靴を脱いだ。
「あら早い方じゃない?一時間以内に来たんだから」
「また律ちゃんたら、そんな意地悪言って」A子が持参したシュークリームを私は受け取る。
「で、どうなの?相手は分かったの?」私はポットのお湯を急須に注ぎながら言った。
「それがさ、大変な相手だったの、私も驚いちゃって」A子のおっとりた口調を聞いていると、驚きによる緊迫感というものが全く感じられない。その癖、変に勿体ぶったりする。いつもの事ではあるが、これが結構イラつくのである。
「誰だと思う?」
ほら、こんな感じ。
「さ~誰だろう?私の知ってる人?」
「知らないと思う」
「じゃ、訊くなよ!」
「そうだよね、ご免」
「で、どんな人だったの?」
「それがさ、大変な人だったんだから」
「それはさっき聞いたから」
「ああ、ご免なさいね。それがさ、奥さんだったの、奥さん。もう呆れちゃうでしょ、まさか私も奥さんだとは・・・」私はA子が話
すのを手で一旦遮ってから言った。
「ちょっと待って、奥さん奥さんって誰の奥さんよ」
「えっ?ああ、会社の奥さんだったの」
「もういい加減にしなさいよ、あんた何人よ、その辺にいる外国人だってもっとちゃんとした会話するよ」
「えっ?私の日本語、変?」
「会社の奥さんって何よ!」
「ああ、ご免、社長の奥さんだった」
「あんたがもう少しちゃんと説明してくれたら、ここは私がエ~ッ!て驚くところじゃないの」
「そっか、ご免ね、私って説明が下手だから」
「そういう問題じゃないと思うけどね。それで?旦那の浮気相手が分かったところでどうするの?」
つづく。

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