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最終更新日:2024年03月28日
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第556話「律子さん74」

A子はお茶を一口飲むと、ゆっくり湯飲みを茶托に戻し溜息混じりに言った。
「どうしましょう」想像通りの答えが返って来る。
「社長の奥さんって専業主婦なんでしょ?」
「それが共稼ぎなの」
「経理とかやってるの?」
「看護師なの」
「そっか、同じ会社で働いてるんじゃないんだ・・・。あれ?あんたも元はナースだよね。その時入院してたのが今の旦那なんだっけ?」
「そう、あの人、私の事を白衣の天使だなんて・・」 A子は訊いてもいないのに余計な事を言うと、勝手に恥ずかしがって、勝手に顔を赤らめた。
そんなA子を無視しながら私は言った。
「いつからなの?」
「二年前だから怪我して入院した頃かな」
「そこでまた新たな白衣の天使を見つけたってわけだ」私に言わせれば、とんだ変態亭主である。
「そう、よりによって社長が紹介してくれた病院で」
「何だか社長も可愛そうだよね。まさかそんな事になるなんてね。もちろん社長は知らないんでしょ?」
A子は黙って頷くと、今度は急に泣き出した。
「まあ、旦那に裏切られたんだから悔しいよね」
「違うの、違うの」A子は両手いっぱいにハンケチを広げると、顔を埋める様に泣きだした。くぐもった泣き声が部屋中に響き渡る。
「私が・・・私が悪いの!」
「何でA子が悪いの?浮気したのは旦那じゃない」
「三年前に原因を、原因を作ったのは私なの、もうできなくなったからなの」何を言ってるんだこの女、と思いながら、辛抱強くA子に声を掛ける。
「原因って何なのよ」A子の泣き声が少しずつ小さくなり、次の言葉を発するまで私は辛抱強く待ち続けた。全く私らしくない。
「私が太ったから・・・」
「そんなに太った?」
「うん、太って着られなくなったから」ますます意味不明だ。まどろこしい会話に私のいらいらが募る。
「何の事を言ってるの?」
「できなくなっちゃったの」
「何が?何ができないの?」
「白衣の天使」

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