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最終更新日:2024年04月19日
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第569話「マーちゃん48」

マーちゃんと僕の会話は、思わぬ方向へと進む事に。
「そういう考えの人もいるってことさ、普通はやっぱり家庭の方が大事って思うよ。お父さんだってそうさ。仕事は代わりがあるけど家族の代わりはないからさ」
すると意外にもマーちゃんは、俯きながら小さな声で、呟く様に言った。
「そうでしょうか?お父さんは、もう一人の家族を捨てたんですよ。僕のお母さんを・・・だからお父さんが僕より仕事が大事だって考えてても不思議じゃないと思いませんか?僕を捨てても不思議じゃないと思いませんか?」目には涙が。
「そ、それは・・・」僕はそこまでで言葉に詰まった。
相手が大人なら話は簡単だが、何せ小学生である。
そんな僕の考えを見透かした様にマーちゃんが言う。
「きっとお父さんと同じ様に、大人になったら分かるっていうんですね」
「そうだな。でも大人とまでいわなくても、もっと大きくなったら、自然とマーちゃん自身が気付くと思う」
「そうですか、早く大きくなりたい様な、なりたくない様な不思議な気持ちです」
マーちゃんはこう言った後、この話はもう終わりとでもいう様に話をサッと切り替えた。
「あっ!そうだ!冷蔵庫にプリンがあるんですよ」
僕は冷蔵庫に向かうマーちゃんの背中を見て大きく溜息をついた。何とか凌いだというより、手加減をしてもらった感が強かった。
プリンとコーヒーをテーブルに置くいつものマーちゃんに僕は言った。
「おごりの件だけど、男ってバカなもんでさ、見栄を張りたがるもんなんだよ」
「武士は食わねどってやつですか?」プリンを口に運びながらマーちゃんが言う。
そんな言葉どこで覚えたのかといつもながら感心する。
「そうそう、それだ。後で後悔や反省もするんだけどさ、それも中々口には出せないもんなんだ。後で俺の方からも言っておくよ」
玄関でドアの音がした。
「ほら、武士のご帰還だ」
仕事で疲れ果てた父親を見てマーちゃんが言った。
「武士というより、ほとんど落ち武者ですね」

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