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最終更新日:2024年03月29日
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第571話「新人さん」

職場での先輩や上司から仕事を習い終え、現場に配置される新入が目につく様になって来た。
接客業に関しては、胸に見習と書かれた札を付け、一生懸命に働く姿を見ると、思わず「頑張れ」と声を掛けたい心境になる。
「いらっしゃいませ」の声も初々しい。
レジの清算で、現金と一緒に商品券を渡すと、一瞬困った顔をするが、後ろに付いている先輩がすかさず操作の仕方を教えている。
職種は違えど、うん十年前の自分の姿と思わず照らし合わせ、何だか懐かしい気分になる。
当時は、仕事を教えてくれる先輩に対して、尊敬と憧れの念を抱くと共に、自分も将来こんな仕事ができる様になるのだろうか?憧れと不安がまぜこぜになって、何とも言い難い気持ちが胸の中でグルグルと渦巻いている様な、そんな感覚があった事を思い出す。
今では神経も図太くなり、かなりふてぶてしくもなったが、この時期になると、「初心忘るべからず」慢心は禁物と、自分自身を戒める様にしている。
例え古参社員であっても、新人から見習うべきところもあるのだ。人生は常に勉強。
行きつけのガソリンスタンドにも新人らしき若者がいて、先輩が付き切りで仕事を教えている。
「いらっしゃいませー」新人の明るく元気な声がスタンド中に響き渡る。
車の窓を開けると、更に大声で「いらっしゃいませ」と耳元で叫ばれ、思わずのけ反る。壊れて調整が利かないボリュームの様だ。
そこで見かねた先輩が、何やら注意を促してから僕に言う。
「すいません、新人なもので」その先輩も三年ほど前は、今の彼とそうそう変わらなかった事を思い出す。
「まだ慣れないから緊張してるんだね。頑張ってね」と僕が言うと、顔を赤らめて「はい!」と返事をする。
「で、次は?」という風に目で先を促す先輩。
ハッとした顔で僕を見ると新人の彼は大声で言った。
「ま、窓を拭いて欲しいですか?」

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