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最終更新日:2024年04月19日
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第596話「マーちゃん53」

マーちゃんが自分の部屋に行ったのを見て、僕が友達に小声でいった。
「お前、あんな中途半端なもん出したらダメだろう」
「俺だってあいつの将来を色々考えてるんだってとこを見せたくてだな」
「あれじゃ、藪蛇だろう。結局、積み立ててたのは、一年程度じゃないか。途中で挫折したって事を見せつけてる様なもんだろうが」
「そっか、そうだよな」と困惑顔の友達。
ここから更に僕の声が小さくなる。
「ところで、今も残高はあるのか?」
「えっ?何で?」
「何でって、あの通帳の最後は繰越ってなってたぞ」
「あっ?分かった?」
「分かるよそんなもん。マーちゃんは気が付いてないみたいだけどな」
マーちゃんが部屋から出て来たので、僕等は何事もなかった様に平静を装う。
「でも、お前やっぱ親だよな~。何だかんだ言っても息子の将来の事を、ちゃんと考えてたんだな。また今月から頑張れよ。ほら、大切な物だ。仕舞っておけ」と僕は友達に通帳
を渡した。
「お、おう。そうだな。頑張るよ」と友達は急いで通帳を仕舞いに行く。
この辺で帰った方が良いかもしれないと思ったその時、マーちゃんが一冊の通帳を何故か僕に渡した。
「これは今迄の僕のお小遣いや、お年玉を貯めたものです。見て下さい」
「いいのか?」僕はマーちゃんから通帳を受けとりながら言った。
「はい、家族みたいなものじゃないですか」中々嬉しい事を言ってくれる。
「所詮子供の小遣いだ」と鼻で笑いながら、友達が僕の横に移動する。
通帳を開くと、僕等二人は同時に声を上げた。
「おおお~」予想を遥かに越える金額だった。
「一度決めた事は、余程の事がない限り最後までやり遂げなければなりません。親であるお父さんがそんな中途半端な事でどうするんですか!」何故か僕までもが友達と一緒に正座をし、新年早々マーちゃんのお説教を聞く事となった。
「お父さん!」
「はい!」
「通帳がもう一冊ありますよね。見せて下さい」
ああ~っ、やっぱりあの時、帰っておくべきだった。

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