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最終更新日:2024年04月12日
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第598話「消防士1」

今日は一月三日、今年初めてのドドドという足音が、玄関の方から聞こえる。
隣りの家の孫である四歳児の健太が遊びに来た。
「あけまして、おめでとうございます」リズム良く挨拶をすると、小さな頭をペコリと下げた。
「おめでとう。今年も元気だな。ほれ、お年玉だ」と祖父が目を細めて渡す。
また同じリズムで父と母にも挨拶をする。
「はい、おじさんとおばさんから」母もお年玉を渡す。
「ありがとうございます」と棒読みともいえるセリフを口にする健太。
次に、健太は僕の顔をじっと見る。
「あけまして、おめでとうございます」言わされてる感が満載だ。
僕は笑いながらお年玉を渡す。
ちょうどその時、健太の祖父である隣りの爺ちゃんがやって来た。
「何だお前、みんなからお年玉貰ったのか?いつも世話になってるのに、しょうがない奴だな」
「源じいのいう通りにしたら、こんなにいっぱい貰えた」と言って収穫したお年玉の袋を嬉しそうに見せた。
言わせていたのは、やはり源じいだった。
源じいは一瞬、苦笑いをすると、ゴホンと一回咳払いをしてから膝を折り、手をついて例年通り新年の挨拶を僕等と交わした。
「昼はまだだろう?良かったら寿司でもどうかと思ってな」といって、かなり豪華な寿司を持参して来た。
健太は、我が家にある健太専用のおもちゃ箱から、僕がクリスマスにプレゼントした消防車のラジコンで遊びだした。
梯子が延びてサイレンも鳴る上に、ホースからは水も出るという、かなりの優れ物だ。
「俺は大きくなったら消防車になるんだ」
「消防車じゃなくて消防士っていうんだ。火を消す人だろう?」
「うん、火を消して人を助ける人になるんだ」
「そうか、カッコいいな」
「消防車が通りま~す。消防車が通りま~す」と言いながら、健太は走る消防車の後ろをついて部屋中を歩き回った。    つづく。

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