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最終更新日:2024年04月25日
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第599話「消防士2」

昼時なので、源じいが買って来た寿司をご馳走になる事にし、それぞれが箸を割り出す。
「あっ、サビ無し頼むの忘れたな」と源じい。
「え~っ、辛いのしかないの?」と健太は悲しそうな顔をする。
「大丈夫だよ。俺がサビ取ってやるから」と僕は健太に、どのネタが良いか訊く。
まだ昼間だが、正月という事で、寿司やうま煮をつまみに酒を飲む事になった。
「これはこっちじゃ中々手に入らん酒だ。正月にお前と一緒に飲もうと思ってな」
祖父は自分の部屋から一升瓶を持って来ると、友人である源じいに言った。
僕も酒の入ったコップを受け取り一口飲むが、年寄り連中の酒盛りを尻目に、僕は腹を空かせた雛に餌を与える親鳥の様に、せっせと健太にサビ取りをする。
何貫かサビを取ってやってるうちに、サビの効いた寿司も食べてみたくなったらしく、いつの間に食べたのか、健太は涙を流しながら鼻を摘み、口を大きく開けてハアハアしだした。
「お前、何でサビ取ってないの食べたんだよ」と笑いながら、僕は健太を台所へと連れて行く。
「あ~辛かった~。大人は辛い寿司が好きなのか?」と凄い勢いで水を飲む健太。
「そうだな。辛い方が上手いんだよ」
「口から火、出そうだった。鼻がツーンって痛くなった。そんで、涙いっぱい出て死ぬかと思った」
「そっか、そんな辛かったか」と笑う僕。
「俺は大きくなったら、辛い寿司が食べれる様になりたい」ぼそりと呟く健太。
いつの間にか、父と祖父それに源じいは、すっかり酔いつぶれてしまった。
遊ぶことに飽きると、子供というのは、イタズラを思いつく様だ。
健太は、ねりわさびのチューブを手に取り、床で寝ている源じいの口の上に、こんもりとわさびを絞り出した。
そして、源じいの顔の横まで消防車を動かすと、梯子を延ばし、源じいの口目掛けて放水した。
「火事で~す。火事で~す。口から火がでま~す」

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