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最終更新日:2024年04月19日
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第602話「マーちゃん54」

友達の息子である小学五年生のマーちゃんが言った。
「最近、お父さんの帰りが早いんですよ」
「早いなら別に良いじゃん」
「そうなんですけど・・・」
「でも、今日は遅いんじゃないか?」僕は部屋の時計を見て言った。
「今日は、新人さんの歓迎会らしくて、少し遅くなるって言ってました」
父子家庭であり、家計のやり繰りは全てマーちゃんがやっている。
「ほら、この前、毎月の積立貯金が中途半端になってたろ?その事で俺らが色々言ったからじゃないか?」
「僕も最初は、そう思ったんですよ。飲み代を貯金に回してるのかな?って、でも、お父さんの性格からして、それもあり得ない様な気がするんですよ」
「じゃ、どうしてだ?」
「この前、会社の健康診断があったんですけど、どこか悪いところでもあったのかな?って思いまして」
「それから早くなった?」
「はい、ちょうどその頃かと。でも僕が結果はどうだったか訊くと、健康そのものだって」
「そっか、健康そのもか・・・でもさ、あいつ最近少し痩せた様な気がするんだけど、気のせいかな?」
「えっ?ガン?」マーちゃんの顔色がサッと変わる。
「ガンってなんだよ、何ですぐにガンに繋げちゃうわけ?」
「実はこの前、電話で誰かとガンがどうのって話してたんです。その時、僕の方を気にして奥の部屋に行っちゃって・・・。絶対何か隠してます。それに・・・」
「それにどうした?」
「最近は妙に優しくて・・」いつの間にかマーちゃんの目には涙が浮かび、声も震えている。
ちょうどその時、父親である友達が帰宅した。
マーちゃんは父親に駆け寄ると、何の躊躇いもなくいきなり直球を投げつけた。
「お父さん!ガンですか?」
「えっ?な、何だよ急に・・・」
「だって、最近痩せたみたいだし、この前も電話でガンがどうのって・・・」
マーちゃんの想像は、どんどん膨らんでいってしまった様で、ついに泣き出してしまった。
「電話で?ガン?・・」ハッとした顔をするのと同時に、友達の顔色が見る見る青ざめて行くのが分かった。つづく。

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