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最終更新日:2024年03月29日
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第616話「夢追い人」

夢破れ、泥酔しきったAが泣きながら言った。
「都会の奴らは冷たいっていうかさ、取り付く島もないってのはどうなんだ?」
ほんの少し前、歌手志望だったAを見て、Bと僕は顔を見合わせて苦笑した。
「SNSでは俺の動画って結構人気があったんだ。それだけ世間では認められてるって事だろ?」
それを聞いたBはため息交じりに言った。
「だからあれは身内だって。お前に説明しようとしたけど、全く聞く耳を持たなかったろう。あれはさ、ほとんど高校の時の奴らなんだ。皆、面白半分に見てただけなんだよ」
「嘘だろ?あんな沢山見てたんだぞ」
「友が友を呼んだって言うかさ、仲間内で面白半分に拡がっただけなんだ」と僕。
「それでお前が上京する前に慌てて話をしようとしたんだよ」とB。
「じゃ、俺って馬鹿みたいじゃん。真に受けてさ」
「みたいじゃない。お前は馬鹿なんだ」とB。
「間違いなく馬鹿だ」と僕。
「そっか、馬鹿か・・・馬鹿だよな~。でもこれで何かスッキリしたな。本当の事が分かってさ」と笑うA。
気持ちの切り替えが早いのがAの長所でもあるが、時には短所にもなる。
「でも嫁さんと子供はどうすんだ?まだ戻れるのか?」と心配になった僕が訊く。
「離婚はまだしてないんだ。帰ったら家に居たよ。嫁さんが、いつの間にか会社にも電話したみたいで、良かったら戻って来いって言われたよ」と嬉しそうなA。
「流石だな先を見越してたんだ。お前には勿体ない嫁さんだな」Bの言葉に僕も同調し、三人の笑いと共に場の空気が和やかなになる。
「お楽しみの途中ですが、新しいマジックを仕入れたんで見てもらえますか?」
マジック好きのマスターがそばにやって来て言った。
マスターのマジックに驚きながらもAの目が輝く。
「凄いねマスター。俺、弟子入りしようかな?これさ、SNSに上げて、人気が出たらさ・・・」ここ迄Aが言うと、Bと僕はAの頭を思い切りひっぱたいた。

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