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最終更新日:2024年04月19日
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第617話「祖父の記憶力」

祖父が携帯を耳に当てながら言った。
「爺さん居るか?居ない?ああ、きっと坂田さんとこだな」と言って電話を切り、また電話番号を打ち込む。
「ああ、俺だ。中村の爺さんはそっちに行ってるか?来てない?何処行ったんだべな。鈴木さんとこか、ああそうだな。何?最近は行ってないな。おお、今度行くべ。はい、は~いどうも」 携帯を耳から離して祖父が首を傾げる。
「中村の爺さんはどこをうろちょろしとるんだ。まったく・・・あれ?どこ掛けるんだったっけな・・・」
「鈴木さんとこ」と笑う父。
「おお、そうだった」と言って、また番号を打ち込む。
「中村の爺さんは、そっち行ってるか?あっそうか、何処行ったんだべ。えっ?いや~この前、大負けしたからよ、暫くは謹慎だな。ハハハハハ・・・。上手い事言うな。今度は仇取ってやるから覚悟しとけ。何?井上さん?井上さんとこ行ったら大変だべや、一昨年死んだんだから。そうだよ、そうそう。寂しくないって、そう遠くない内に会えるから、そうだな、久保田の爺さんのとこ掛けてみるわ。はい、は~い~どうも」
また番号を打ち込む。
「中村の爺さんって行ってるか?そうか、うん?そうだな、おお良いな、また今度やるべ。はい、は~いどうも」と電話を切りながら祖父が文句を言う。
「ど~こ行ったもんだべな」
それにしても、祖父は友達の電話番号を全て暗記している様だ。僕が凄いと褒めると。
「ボケ防止だな。頭は使わんとな。よし、ちょっと中村の爺さんとこ行って来る」
「あれ?中村さんって見つかったの?」
「えっ?あっ!まだだった」
その時、インターホンが鳴り、祖父が玄関へ。
「お前どこ行ってたんだ?あっちこっち電話して探したんだぞ」と祖父の声。
「何言ってんだ。二時に来いっちゅうから来たんだぞ」
玄関からは祖父の声に続き、中村さんの声がした。
「あれ?そうだったか?」と祖父。
「そうだよ、大丈夫か?しっかりしてくれよ。それで何の用なんだ?」と中村さん。
「えっ?・・・・・あ~そうだな・・・まあ、あれだ・・・その~なんだ・・・まずは上がってお茶でも飲んでけ」

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