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最終更新日:2024年04月19日
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第621話「マーちゃん58」

友達の家に行くと、友達の息子である小学五年生のマーちゃんが出て来た。
「これ、家の奥さんが持ってけってさ」
「うわ~お赤飯ですね。何かお祝い事ですか?」
「いや、俺が何となく食べたくなって作ってもらった」
「・・・そうですか、良いですね。僕にはそんな人居ません」と父子家庭のマーちゃんが暗い顔をする。
「何だよ今日は、おセンチな日なのか?」
「あ、いえ、お赤飯ありがとうございます。奥さんによろしくお伝え下さい」
「あいつは?」僕が訊く。
「あいつは、まだお仕事から戻ってませんね。でも、もうすぐ戻ると思いますよ。たった今、電話が来てましたから」とマーちゃん。
「電話?あいつが帰る前に電話って珍しくないか?」
「そう言われればそうですね。それに今日はご飯の支度はしなくても良いって」
「何か美味いもんでも買って来る気でいるのかな?」
「まさか~まだ給料日前ですからね。ちょうど今頃は金欠病のはずですよ」
ちょうどその時、あいつである友達が帰って来た。
「これさ、煙が出ないんだってよ。だから家の中でも焼き肉できるんだってさ、ほらこれ、肉と野菜も買って来たんだ。いっぱいあるからお前も食ってけよ」と友達が僕に言と、箱からホットプレートの様な物を取り出した。
「どうしたんですか急に」とマーちゃんが不思議がる。
「お前この前、外で焼肉したいって言ってたろ、でも週末はいつも天気が悪いからさ、家でも焼肉できる様にと思って、これ買って来たんだ。匂いは二、三日残るかも知れないけどな。よし、野菜切って来る」と友達が台所へ行った。
「ほらマーちゃんにもいただろ、食べたいって物を作ってくれる人がさ」
「はい、そうですね」と嬉しそうに笑った後で言った。
「でも変だな~お金持ってないはずなんですけどね」
焼肉と赤飯といった変な組み合わせの食事が終わり、帰り際に友達がそっと僕の耳元で言った。
「悪かったな、助かったよ。給料出たらすぐ返すから」

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