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最終更新日:2024年04月19日
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第624話「律子さん86」

先週、我が家に届いたばかりのプリウスの助手席で、母がシートベルトを装着しながら言った。
「へ~新車はやっぱり良いね~私の車とはえらい違いだわ、これでエンジンかかってるの?本当に静かだね」
「まだエンジンかけてないし」と私が笑う。
「あっそう。それにしてもあんたとドライブって久し振りだね」
今日は母を乗せて札幌の伯母の家へ行くのだが、母の姉である伯母は、ハッキリ言って私は苦手である。
「そうだね。でもさ、やっぱり高速乗らない?」
「嫌!あんた飛ばすもん」
「そりゃ高速だもん多少はスピードも出すよ」私は運転があまり好きではないので、できるだけ早く目的地に着きたいのだ。
「ほら、台風でやられて通行止めになってた峠も開通した様だしさ、新しい道もできたみたいじゃない」
「開通って、もう二年ぐらい経ってるんじゃない?」
「そう?それにさ、日高の道の駅にあるラ・フランスのソフトが食べたいんだよ」
「あれ私も好き」
「でしょ~だからさ、高速乗らないで行こうよ。お金も掛からないしさ」
「私は疲れるけどね」
「何言ってんの、律子はまだまだ若いんだからさ」と煽てる母を横に乗せ、私は高速の入り口を横目で見つつ、後ろ髪を引かれる思いで一般道を走り続けた。
峠に入っていくと、母は新しくなった道路や覆道を見ては、子供の様にはしゃいでいる。
やがて車は樹海ロードに入る。ここからが長い。
「まだ着かないの?道の駅。何だか腰が痛くなってきちゃった。おトイレも行きたくなって来たね」どうやら景色にも飽きて来た様だ。
「だからさっきのトイレでしておけばよかったでしょ」
「あの時はもう少しだと思ったから・・・ねえ、どっかにないの?おトイレ」
「こんな山の中にあるはずないでしょ!」
「我慢できるかな?」
面倒になって無視を続ける私に、更に母は言った。
「な~んかさ、やっぱり高速にすりゃ良かったかね」

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