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最終更新日:2024年04月25日
最終更新日:2024年04月25日
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第629話「熱帯夜1」

九月なのに日中の気温が三十三度、その日の夜は寝苦しい熱帯夜となった。
「ありえん。地球はいったいどうなってんだ?ここは北海道だぞ」誰にいうともなく祖父はボヤキながら冷蔵庫のドアを閉めた。
「何だ眠れんのか?」と父。
「クソ暑くて眠れたもんじゃない。ビールもないしな」
「ああゴメンね、買い置きしとくの忘れてた」と母。
「いいよ、運動がてら買い物でもして来る」
「お前も行け、こんな遅くに年寄りがうろうろしてたら徘徊老人かと思われるぞ」と僕に言いながら笑う父。
時間は間もなく十一時、この時間じゃコンビニか。
蒸し暑い夜道を祖父と二人で歩いていると、コンビニの袋を持った男性が声を掛けて来た。
「何だ考える事は同じだな」隣りの家の源造さんだ。
「お前もか」と笑う祖父。
「あんまり飲み過ぎんなよ」と祖父が言い、笑い合いながらすれ違う。
また少し歩くと別の男性が笑顔で声を掛けて来た。
「どうもお久しぶりです」祖父より少し若いぐらいだろうか、中々上品な人だ。
「・・ああ、お久しぶりですね」と祖父も挨拶を返す。
「こちらは息子さん?」
「いやいや、孫です」
「こんな立派なお孫さんがいらっしゃるんですか」
僕も当たり障りのない挨拶をする。
「最近、お身体の調子はどうですか?」と男性。
「ああ、もう歳ですからね。騙し騙しやっとります」
「そうですか、私もですよ」などとお互い笑っている。
男性と別れた後、コンビニの前で信号を待ちながら
祖父に訊いた。
「あの人誰なの?」
「それがな、今も考えてるんだが、全然分からんのだ」
ビールとつまみを買い、もと来た道を歩いていると、また先ほどの男性が声を掛けて来た。
「どうもお久しぶりです」
「・・・・・」祖父。
「・・・・・」僕。
「お前、携帯持っとるか?」
祖父が僕に訊く。
「いや、持ってない。こういう時は、やっぱ警察?」
「だべな」つづく。

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