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最終更新日:2024年03月28日
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第632話「野菜の色1」

隣りの家の孫である四歳児の健太が遊びに来た。
「あれ?爺ちゃんは?」
「敬老会に行った」と僕。
「けーろうかい?」
「爺ちゃん婆ちゃんの集まりだな」
「ふ~ん、まだまだ帰って来ないのか?」
「昼過ぎじゃないかな」
「じゃ、俺と遊んでくれる人は誰だ?」
健太に言われてリビングを見廻す。
「えっ?あら?誰も居ないな、俺か?俺じゃダメか?」
「別に良いけど暇なのか?」
「暇って事はないけどさ」
「俺が来ないと何すると思ってた?」
「そうだな~何だろうな」
「ほら、やっぱり暇なんだ」
「まあ、確かに暇っちゃ暇かもな」と僕が笑う。
「いい若いもんが、家でゴロゴロしてたらいかんぞ」
「誰だ?源じいが言ってたのか?」源じいとは、隣に住む源造さんの事で、健太の祖父である。
「うん、ミロリ色の髪の毛の人に言ってた」
「緑色?ああ、サトルだな」
サトルも近所の家の子だが、二十歳を過ぎても職に就かず、いつも家でゴロゴロしているニートってやつだ。
「ミロリの髪の毛は何で生えたんだ?」
「何だ?健太も緑の髪にしたいのか?」
「嫌だ!ぜ~ったい嫌だ」
「じゃ、何色がいい?」
「俺は黒のままがいい!ミロリの髪の毛はどうして生えるんだ?」何故か、やたらと緑色の髪に拘る健太。
「あれはな、野菜をちゃんと食べなかったからだ」
健太の顔が引きつる。
「野菜食べないとミロリの髪になるのか?」
「そうだ、キュウリやピーマンみたいな緑色の野菜も、ちゃんと
食べないと緑色になるんだ。身体がな、緑の野菜を食べて~って言ってるんだよ」
健太は今にも泣きそうな顔で、慌てて洗面所へと走って行くと、小さな手で自分の髪の毛を摘まみ上げ、あらゆる角度から鏡に映してチェックをしている。
「どした?髪の毛に何かついてるのか?」
「ゴミ付いてないか見てた」
健太は精一杯の嘘をつくと、ニッと笑った。つづく。

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