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最終更新日:2024年04月25日
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第633話「野菜の色2」

買い物から戻ると母が健太に言った。
「お昼はあんたの好きなスパゲティーで良いかい?」
「うん、俺はおばさんのスパゲチィー大好き。えっと、それから野菜食べたい」
「野菜ってサラダかい?」
「う~んそうかな?早く食べないとダメなんだ」
「だって、あんた野菜嫌いじゃ」とまで母が言い掛けた時に僕が言った。
「ほら、サトルの髪って緑色だろう、さっき健太に野菜を食べないから緑色になっちゃったって説明したんだ」
すると、勘の良い母は、「なるほどね~それで早く食べないとダメなんだね。健太は緑色の髪は嫌なんだ」
「うん、ぜ~ったいイヤ!」
「よし、それじゃありったけの野菜でサラダ作っちゃうからね」と張り切る母。
「あんまりいっぱいは、いらないと思う」健太が小さな声でボソリと言った。
僕がサラダを健太の取り皿に入れていると。
「あっ、あっ、ニンジンはいらない」と健太が叫ぶ。
「髪がオレンジ色になるぞ」
「えっ?じゃ、食べる」
健太は、皿の中の人参をじっと見ている。
「野菜は後でた~べよ~」と大好きなスパゲティーを食べようとするが、すかさず母に言われる。
「あら野菜は?緑色になっても良いの?」健太は顔をブルブルッっと横に振ると、慌てて野菜を食べ出した。
「どうですか?お味の方は」母が笑いながら訊く。
「まあまあいけるかな」と応える健太に、何処でそんな言葉を覚えて来るのかと母と一緒に笑っていると、父が床屋から帰って来た。
白髪も黒く染めてある。
食卓に着き、食事をしている父に健太が言った。
「ダイコンは食べないの?」
「生の大根は嫌いなんだ」
「食べないとダメ!せっかく髪の毛が黒くなったのに」
僕が事の次第を説明すると、父は大きな溜息を一つ吐いてから渋々大根を食べ出すが、随分と不味そうだ。
そんな父の横で健太が、「あのさ、キノコ食べないと何色の髪になる?」健太は皿の端にしめじを寄せながら、興味津々といった顔で僕を見つめた。つづく。

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