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最終更新日:2024年04月25日
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第634話「野菜の色3」

食後、ポカポカと心地よい日の光を浴びながら、健太と近くの公園へと行く。
公園には、敬老会に行かなかったのか、近所の田中さんのお爺ちゃんが、葉も減り、木漏れ日が当たる様になったベンチで気持ち良さそうにウトウトしている。
それを見た健太は、僕の静止も聞かずに走り出した。
「お爺ちゃん眠いの?」
急に声を掛けられて、少し驚いた様子の田中さんは、
「おおう、あんた源造さんとこの・・えっと名前は~」
「健太!」と叫ぶと、健太は田中さんの座るベンチの横にピョンと座った。
「そうそうケンタ君ね」
「お爺ちゃん疲れてるの?」
「いやいや、そう言うわけじゃなくてね、あまりにも日差しが気持ち良くてね。ちょっと居眠りしちゃって」
「ふ~ん、暇なのか、俺と遊ぶ?何して遊ぶ?」
健太の言葉に大声で笑い出す田中さん。
僕が少し困った顔をして「こんにちは」と挨拶する。
ベンチに当たる日差しは思った以上に強く、少し汗ばむ程だった。
「こんにちは、面白い子だね。人見知りをしないんだね。やっぱり、なつっこい子は可愛いもんだね。家の孫は、どうも人見知りが激しくてね。羨ましいな」と健太の頭を撫でる。
「ねえねえブランコ乗る?」
「こら、じゃましないの。お爺ちゃんはここで休んでるんだから」
「ふ~ん、そっか」と言って健太はブランコの方へと走って行った。
この時、僕は健太が居なくなったのを見計らって、田中さんに一つお願いをした。
僕らが話していると、急に健太は何かを思い付いた様な顔で走り寄って来ると、田中さんに訊いた。
「もしかしてキノコ嫌い?」
「キノコ?うん嫌いだね」
僕がお願いした通りの受け答えをしてくれる田中さん。
健太は田中さんの頭をじっと見てから叫んだ。
「あっ!そっか!キノコ食べないと、こんなんなるのか~」その時、頭上からヒラヒラと落ち葉が舞い、田中さんの汗ばんだツルピカ頭にピトッと貼り付いた。
それを見て僕と健太が笑うと、少し遅れて田中さんの笑い声も加わり、僕ら三人の笑い声が晴天の秋空の公園に、空高く響き渡った。

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