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最終更新日:2024年04月25日
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第647話「律子さん89」

仕事から帰ると、主人の車がカーポートにあった。
なぜか真っ暗なリビングの灯りを点けると、主人がソファーで横になっていた。
「どうしたの?」
「風邪だってさ、熱がある」
「病院行ったの?」
「うん、インフルエンザじゃなくて良かったよ」
「だからって、そんな所で寝てちゃダメだよ。ベッドで寝なきゃ。どう?食欲はある?」私が、主人の顔を覗き込む様に訊く。
「あまりないな」
「でも少し食べた方が良いよ。今日はシチューを作るからさ、できたら呼びに行くからベッドで寝てて」
主人はソファーから立ち上がると、重そうな身体を引きずる様にして、ゆっくりと階段を上って行った。
夕食の準備を終えた頃に、母が太巻きを作って持って来た。恵方巻?主人を起こし、食卓に着く。
「そう、風邪かい。私もやっと良くなったの」と母。
「大丈夫なの?」
「うん、熱が結構高くて辛かったけど、もう大丈夫」
「病院に行った?」と主人。
「風邪ぐらいで病院なんか行かないよ。安静にしてれば治るんだから」
翌朝には私の看病の甲斐もあってか、主人の熱もすっかり下がった。
だが、それから数日後、再び主人が熱を出した。
病院へ行くと今度はインフルエンザだった。絶対安静という事で、四、五日会社を休む事になった。
ちょうどその晩、母から電話が来た。
「お父さんの熱が下がらないから病院に連れて行ったら、インフルエンザだって」
「えっ?それってお母さんもインフルエンザだったんじゃないの?」
「まさか~違うよ。私のはただの風邪だよ」
「でも病院で診察したわけじゃないんだよね」
「・・・えっ?なに?・・・もしも~し・・・あら?なんか遠いね」
「またそうやってごまかす」
「もしも~し、なんか電波の調子が悪いからもう切るね」母が一方的に電話を切ろうとする。
「待て!このクソババア!小芝居してるんじゃないよ」
「親に向かってクソババアって事あるかい!」
「聞こえてるじゃないの!」
母が黒である可能性は、かなり高い。

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