煙草を吸う人と吸わない人。以前我が社では、喫煙者の方が若干多く、会社内ではどこでも遠慮なく煙草が吸えた。ところが、ある日を境にこの比率が逆転した。喫煙者の内、二人が禁煙を始めたのである。
それ以来、デスクでは禁煙となり、喫煙室を設け、今年で二年が経過した。
「煙草ってほとんど税金だろ？国のために喫煙者の方が多く税金を払っているのに、何で肩身の狭い思いをしなくちゃならないんだろうな」換気扇が回る社内の隅っこにある喫煙室で、煙を吐きながらＡが言った。
「本当ですね。国も喫煙を奨励してませんしね。いっその事、煙草を売らなけりゃ良いのに」とＢ。
「でも、これって体に悪いんだよな。最近何か変な咳が出るしさ、明日は健康診断だし、ちょっと心配だな」「健康診断って自分いつも引っかかるんですよ。昔っから身体弱い方で」とＢ。
Ａの発した一言に触発され、喫煙室では、それぞれの不健康自慢合戦が始まり、血圧・糖尿・不整脈・終いには白血球が・・といつ死ぬかも分からない病状を互いに慰め合う状況。
方や、煙草を吸わない側は、自分が不死身だと言わんばかりに各自で自慢をし出す。Ｃは、煙草は吸わず、誰よりも食生活には気を付け、ダイエットの為と早朝マラソンをしている。そんな中、今年も健康診断の時期がやって来た。

つづく