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最終更新日:2024年04月25日
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第650話「なぜか好々爺1」

祖父と父と僕の三人で雪掻きをしていると、近所に住むサトルが通り掛かった。
「ちは~っす」いつもと違うサトルに、僕等三人の手が止まる。
「おお、やっとインコから人間に戻ったか」と笑う父。
「そっちの方がずっといい。うん、良い男だ」と祖父。
「明日面接だからさ、あれじゃ流石にやばいっしょ」
緑色の髪から黒に戻したサトルが、笑いながら頭を撫でるのを見て、僕等三人は顔を見合わせる。
「面接?仕事するのか?」と僕が訊く。
「うん、子供ができたから働かなきゃならないんだ」
「子供~?」僕ら三人が同時に驚きの声を出す。
「結婚したのか?」と祖父。
「結婚はしてないけど、子供ができた」
「お前、ニートのくせにそっちだけは早いんだな」と驚く父。
「おじさん、違うから。元、ニートだし」と笑うサトル。
「まあ、昔なら結婚前に子供ができたなんて大変な事だったけど、今の時代はどっちが先でも構わん様だからな。授かりものだし、まあ、おめでたい事だから」と祖父が何故か好々爺に。
「サトルは幾つになったんだ?」と父が訊く。
「来月で21かな」
「21か~若いな~」と父が言って僕の顔を見ると、それに倣うかのように祖父も僕の顔をじっと見つめる。
「な、なんだよ。俺だってその内に結婚するって」
「もう、ず~っとその内その内って、いつになったら孫の顔を見せてくれるんだ」
「そうだ!俺だって早く曾孫の顔が見たいんだぞ」普段、仲の悪い二人だが、何故かこういう話になると意見が一致する。
「で、式はやるのか?」と旗色が悪くなった僕は、サトルの方へと話をふる。
「シキ?シキって?」
「だから結婚式だよ」と父。
「ああ、結婚式はしないよ」
「そうか、最近は式を挙げない若者も多いみたいだしな。嫁が来てくれるだけでめでたいもんだ」と祖父は、またまた好々爺になる。
「うん?嫁?嫁なんか来ないし。でも子供ならもう家に来てるよ」   つづく。

 

 

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