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最終更新日:2024年04月19日
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第685話「律子さん95」

日曜日の夕方、遊びに来ていた同僚を母と見送る。
「また遊びに来て下さいね。今度はもっとましな物を用意しておきますから」同僚は、それぞれの車で帰って行った。
「ちょっと何よ、もっとましな物って」
「社交辞令だよ。それにしても小林幸子に田中好子って凄いよね。あんな小さい零細企業に同姓同名が二人も居るなてさ」
「零細企業は余計でしょう」
「ああ、そうか、何ていうんだっけ?弱小企業?」
「中小企業!」
「ああそうそう中小企業ね。あんたも独身だったら中山律子だったのにね。この際、離婚する?」と母は笑うと、
「あ~寒い寒い」と背中を丸めながら、小走りで玄関のドアを開ける。
外へ出たついでに帰るのかと思ったら違う様だ。
「今日は日曜日なのに仕事だなんて、あんたの旦那様は忙しいんだね」
「何よ、その旦那様って」
「だって婿殿って言ったらあんたが婿養子じゃないっていつも怒るから、だから旦那様って、あっ!旦那様って歌あったね。私の大事な旦那様~って」
「知らないよそんな歌」
「ダメなの?旦那様じゃ」
「ふざけてるみたいじゃん」
「婿殿より良いでしょうに」
「やめてよ、大して変わらないし、どっちも変だよ」
「やめろといわれても~今では遅すぎた~」と笑いながら歌い出す母。
「ちょっとふざけないでよ」
「な~んだか面倒だね」
「面倒にしてるのは、お母さんでしょう。普通に名前で呼べばいいじゃん」
「嫌!それだけは絶対嫌」
子供の様にダダをこねる母を呆れながら見つめる私。
「あんたには普通でも、私には特別なの!それにもう天国へ行っちゃったし・・」
「ファンだったのはいいけど、お母さんの方がずっと年上だよね」
「ずっとじゃないよ、ほんの十歳違いだよ。それに、ファンに歳は関係ないよ。ああ~もうディナーショーにも行けないんだよ。考えただけで悲しいね。涙が出そう。だから絶対呼べないんだよ。秀樹さんだなんて」

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