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最終更新日:2024年04月25日
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第9話 「天職」

ある日、自宅でくつろいでいると、チャイムが鳴った。
ドアを開けると会社の後輩が立っていた。
右手にはスノーボード、左手には着替えの入った大きなゴミ袋を持っている。
理由を聞くと、父親と喧嘩をし、家出して来たとの事。
なぜスノーボードを持っているのかと聞くと、自分の大切な物を持って来たとの事だった。
高校生じゃないんだからと、帰る様に言い聞かそうとしたが、なかなか頑固な奴で、結局居候として暫くおく事になった。
次の日、帰宅すると夕食の支度がしてあった。勿論奴自身も食事を作った事など無い。居候しているせめてもの恩返しとでも思っての事だろうが、ハッキリ言って物凄く不味い。その事は当然奴も自覚しており、その後、料理の勉強をする様になった。
日毎に料理の本が増えて行き、それと同時に奴の料理の腕前も見る見る上達して行った。
休みの日などは、食材を沢山買い込み、手の込んだ料理を何品も作る。
もうここまでくると、料理人顔負けの腕前である。
こちらも美味い物が毎日食べられて良いのだが、いつまでもこのままではいけないと思い、家に帰る様に説得した。
それから数日して、奴から自分に合った職業を見つけたので、会社を辞めると言って来た。あれから七年。
今でも毎年欠かさず年賀状が届く。東京で料理人として働いている奴から。

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