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最終更新日:2020年08月05日
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第319話 「冬の運動(1)」

祖父が真っ赤な顔で散歩から戻った。良く見ると鼻の下が濡れていた。
「じいちゃん。鼻、鼻水出てるぞ」祖父はフフフと笑いながら、鼻をかんだ。
「散歩は春までしない方が良いんじゃないか?転んだら危ないよ」
「そうだな。年寄りの冬道は危険だもんな」何故か今日は、やけに物分りが良い。
「この前、ネットで良い物見つけたんだ」
最近インターネットを覚えた祖父は、色々な物を買っていた。次の日、祖父が言っていた商品が到着した。
「冬場は外も滑るし、家の中でも運動ができる様にと思ってな。年寄りは気を抜くと、直ぐに足腰が弱るからな」と嬉しそうに梱包を解くと、中からランニングマシーンが出て来た。早速自分の部屋にセットし、ジャージに着替えた。祖父は何事も形から入る。スイッチを入れるとマシーンは静かに動き出した。
「じいちゃん、気をつけて乗らないと危ないぞ」
「これだと俺の散歩速度とそう変わらん」
「ちょっと早くないか?」心配になって僕が言った。
「大丈夫、このくらいじゃないと運動した気がしない」祖父は嬉しそうに言った。居間にいると、祖父の部屋からランニングマシーンの音が小さく聞こえる。少しすると、音が大きくなった。また少しすると、音は更に大きくなり、祖父の足音がドカドカと家中に響き渡る。
「お~い!誰か来てくれ!」悲鳴にも似た祖父の叫びを聞き、僕が急いで部屋の戸を開けると、こちらに背を向けた祖父が高速になったマシーンの上で全力疾走していた。なぜかジャージが下がり、半ケツ状態に・・。一瞬、僕は吹き出しそうになったが、どう見ても事は急を要する様だ。
「じいちゃん!前の手摺に掴まれって」
「手を振らんと走れん!」慌てていた僕は、スイッチの場所が分らず、コンセントを引っこ抜いた。それと同時に祖父は、前のめりに倒れ込み、本体の手摺に額を強く打ちつけた。その額には大きなタンコブができていた。

つづく

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