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最終更新日:2019年12月06日
最終更新日:2019年12月06日
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第375話「律子さん37」

 今日の「水落ちの滝」の帰りは思った以上の強風で、かなり辛いものだった。オールを一生懸命に漕いだ皆の掌には豆ができていた。
民宿へ戻り、お互いが携帯やらデジカメの画像を見て今日の出来事を泡盛を飲みながら楽しく語り、私達は最後の夜を満喫していた。
「明日は何時の船?」あけぼの館の浩美さんが言った。
私が時間を告げると、宮西さんも石垣の病院へ一緒の船で行くと言った。私が身体の方は大丈夫なのかと聞くと、健康だけが取り柄だと言って笑った。思わず、えっ?と言った私を見て宮西さんは少し驚いた様子で私を見ると言った。
「あら?知ってたの?」私は、ええと言って頷いた。
「アンちゃんも癌なの。あの人の方が重傷なのよ。だから今も少し体調を壊して石垣の病院で静養しているの。もうだいぶ回復したから明日迎えに行くのよ」宮西さんはそう言って泡盛をチビリと口に含んだ。
「私達は幼稚園の頃からの付き合いだったんだけど、本当に不思議な関係でね、麻疹やおたふく風邪は勿論、どちらか片方が怪我をすれ
ば必ずもう片方も怪我をするし、恋愛をするのも一緒で結婚したのも三日違い。だから冗談で死ぬのも一緒だねって話してたら二人とも癌になっちゃった」とまるで他人事の様に笑った。
「死ぬ前に一度、大学の卒業旅行で来たこの島に来ようってことになったの。ここに来て律子さんやみんなと接している内に、私達は生きたいって思う様になった。世の中には私達の知らないことが、まだまだたくさんあるんだもん。ご主人と荒木さんが命懸けで捕まえたガザミ美味しかったね。星が奇麗なのも、カヤックが楽しいのも、海が奇麗なのも、この島に来て初めて知った。私達はやり残したことをしに来たんじゃなく、生きる為に来たんだって考えを変えることにしたの。病気になんて絶対負けない」
涙でくしゃくしゃになった武田さんは宮西さんに抱きつくと言った。
「ガザミ美味いか。アメリカ来い。超でっかいクラブ食わす。これ約束」   つづく

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