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最終更新日:2020年07月13日
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第398話「バスの中の観客3」

鈴木は笑い声を混ぜながら大きな声で言った。
「良いの良いの。俺、マジで疲れちゃったし。別れるつもりしてたから」
さらに少し間をおいてから鈴木は言った。
「学校でも言ったけどさ、これから俺達がつき合うってことは、内諸ってことでよろしく」元気なくコクリと頷くミサキ。
「じゃ、今度の土曜日ね」とバスを降りる間際にミサキが言うと「オウ」と鈴木が笑って返事をした。
前の席からひょっこりと、もう一人の男子高生が立ち上がり、ニヤニヤしながら鈴木の横に並んで言った。
「お前、そのうち刺されんぞ。トモミは捨てるのか?」
「うん、バカだしな」
「ミサキとは?」
「う~ん、ちょっと暗そうだし、もって一ヶ月かな」
このドロドロとした感じ、これが今時の高校生なのか。
「さっきから黙って聞いてたけど、あんた酷い男だね」買い物袋を膝の上に抱えたおばちゃんが鈴木に向かって言った。このおばちゃんも僕と同じ観客だった様だ。
「ふん、ボランティアですよ。モテない女に夢を持たせるって悪い事ですか?」
「人の心を傷つける様な行為はボランティアって言わないの」
「傷つける?俺と付き合えたって事の喜びの方が、大きいと思いますよ」
「いつからそんな子になっちゃんたの?鈴木信也君」
「えっ?知り合い?」と横にいる男子高生が言った。
「やっぱ先生か」と鈴木。
「小学生の頃は正義感の強い子だったのにね、どうしてこんな最低な男になっちゃったんだろ」おばちゃんの顔を睨みつける鈴木。
「今のあんたにミサキちゃんとつき合う資格はないよ」
「何であの女に肩入れするんですか?」
「佐々木美咲ちゃん。私が次の学校で受け持った大切な教え子だもの」
先生の説教はこの後もずっと続いた。
バスにはまだ数人の客が乗っていたが、暫く降車のベルを押す者はいなかった。
僕は事の顛末を見届けたくて、もっとゆっくり走ってくれと運転手に祈った。     つづく

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